時空の狭間⇔光の扉 ページ28
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目を覚ましたと同時にすぐに不思議な感覚に陥る。
一言で表すならばそこは歪んだ世界。
何が、と問われればなにもかも、としか答えようがない。
全てが、空間そのもの自体が流動的。決まった形がないように思える
とどまることを知らず、ただひたすらに動く。
はたして、いま自分には重力が作用しているのだろうか。
足場も流体であり、自分だけがこの世界でただ一点にとどまっている存在。
おぼつかない足取りで、でも確かに歩く。
どこへ歩いている？
終わりの見えない空間。
どこへ歩いている？
ああ、私は…
顔を上げると、そこには扉があった。
絶対的なものとしてそこに存在した。
意識が定まらない中、開けたいという衝動に駆られる
なぜ？なぜ？自分は開けたくない
扉へ手をかけようと伸ばしかけて空間を掴む
鍵穴もない。ドアノブもない。
開けることができない。
そう思うはずなのに、手は伸びていき、中央部分に右の手のひらを押し付ける。
すると、手のひらから扉へと光が四方八方へと伝わり、扉が光の粒子になる
なんて美しいのだろう
だが、知らない。私はこんな扉なんて知らない。開け方も知らない。
ああ、私は…？
“ソナタノナハ？”
扉から手を伝わり響いてくる声。
なんの言語かはわからないが、なぜか意味が理解できる。
この言語…音をどこかで聞いたことが…
“ソナタノナハ？”
ソナタの名は？名前？私の名前は…
「…朱雀院、A」
呟くも、返答はなし。
すると今度は上から光の檻が…
やって、き…た……
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作者名：セラフィム | 作成日時：2018年12月14日 21時
