学園長室⇔一期一会 ページ2
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女は案内され、木でできた立派なドアの前に立つ
「学園長、転入生を連れてまいりました。」
案内の者が声をかけるが返事はなく、その返事の代わりとでもいうかのようにドアがギギギィとゆっくり開く
「案内ありがとう。」
女は無機質にお礼を伝え、案内の者は下がる
女が部屋に入る。カチリ、とご丁寧に鍵までかかるのを待った学園長
ごく普通の、何処にでもいそうな風貌をしていてなんとも印象に残らない顔。
それでいてその姿は貫禄があり、だがどことなく若い雰囲気を醸し出す
どこも不思議な装いではないだけに、あえて疑いの念を向けてしまうほどである。
これほどまで矛盾した印象を持ちかつ、うさんくささを兼ね備えたものがいるのか
女は話すでもなく、動くでもなく、ただ静かに待つ
「ようこそ、魔華洛学園へ。お会いできて光栄です」
「…」
「長旅ご苦労だったね。ああ、失礼だけどこの話し方でいくよ。」
「承知しております。」
「全ては聞いてはいないが必要事項は聞いてるよ。なにか話しておくことは？」
なんとも事務的な会話だろうか。それなのにこの会話に不釣り合いすぎる雰囲気。
目でのやりとりのみで火花が散ってしまいそうなものである
普通とは思えない内容を出しつつ、それでも変わらず話が続く
「この学園については誰に尋ねればよいですか？」
「ああ、それなら今外で待たせてる2年生に聞くといい。世話係みたいなものだよ。優秀な子を選んだから大丈夫」
「年齢は伏せたほうがいいですか？」
「そこらへんは2.3.4年生に集会で話してある」
「…余計なことは話してませんよね？」
「ああ、そうだ、私は極力生徒には関わらない。いくら君といえども、ね。だから彼を頼りなさい」
「…わかりました。」
答えにならない答えも出つつ、それでいて女は静かで何処となく冷たい口調、
学園長は穏やかでいて有無を言わせないような口調で話が進んでいた
「どこで線引きするかは自分次第だよ。」
「…私を受け入れていただき感謝いたします。それでは失礼します。」
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作者名：セラフィム | 作成日時：2018年3月6日 23時
