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『鶯』
名を呼べばこちらを振り向く男。ひどく美しい男だった。だが、その顔は困ったようでもある。
『俺は鶯ではないのだけどなあ』
いつになったら、名を呼ぶのか。そう尋ねると女は上品に口元を隠す。
『貴方が悪いのよ。ホーホケキョなんて言って私を騙すから』
女はとある日の事を思い出す。春を告げる鳥が来た。姿は見えないがとても美しい鳴き声だった。外にでればみられるだろうか。女は下駄を引っ掛け外に出た。注意深く庭の木々を観察していると、道に佇む男が見えた。女はひどく驚いたがきっと彼も同じように鶯の声を聞いたのだろう。庭を抜けて道に出る。女は笑いかけた。
『貴方も鶯をみたくて？』
男は視線を木々に向けたまま答えた。
『あぁ、そうだな。そこに鶯がいたから見ていた。鳴きはしないが』
『あら、さっき聞いたわよ。綺麗な鳴き声だったわ』
『それはそれは』
男はからからと笑った。
『よく聞いていろ。貴女が聞いたのはこの鳴き声だろう』
男は唇をすぼませる。すると部屋から聞こえたあの美しい鳴き声が響いた。どうだ、と得意気に笑うその美しい男に女は苦笑する。
『貴方は鶯ね』
夢だと分かったのは自分の部屋の天井をみてからだった。奇妙な夢だった。だが、不思議と懐かしい感じがする。写真の男がいた。そして美しい女性がいた。どこの誰かも分からない。ぼんやりとした頭で思考を巡らせても考えはまとまらなかった。結局、真由子は考えを放置して会社へ行く準備を始めた。
仕事が手につかない。
今日はやけにミスをする。変換ミスに気付かず上司に書類を提出してしまった。いつもなら念入りに確認するのに。
真由子はため息をついた。
あの夢が頭から離れない。自棄にリアルな夢だった。いまでも覚えている。コンビニで買ったパンを食べながら真由子は写真を眺めた。本は真由子のカバンに入っている。やけに小難しいことばかり書かれた本だった。読んでみても内容の半分も理解できない。
写真の男は微笑んでいる。優しい顔だった。誰かへ向けた表情なのだろうか。
頬杖を着きながら真由子は目を閉じた。
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秋音(プロフ) - リリスさん» 返事が遅れてしまい申し訳ありませんでした！はい！時間が大分かかってしまうかと思いますが、書かせていただきたいと思います！ (2017年12月29日 0時) (
レス) id: b4a58524d0 (このIDを非表示/違反報告)
リリス(プロフ) - リクエスト、いいでしょうか？ もしも、明石国行が蛍丸達の事を忘れてしまったら。お願いします！ (2017年12月27日 22時) (レス) id: 784ce9f04f (このIDを非表示/違反報告)
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