もしも、鶴丸国永とこんな話があったなら ページ13
天気雨。その名前を知る前は狐の嫁入りと呼んでいた。あべこべな天気。晴れたと思ったら空から雨粒が降り出す。鼻先に触れた冷たさに気づいて屋根つきのバス停に逃げ込んだ。しとしとと降っていた雨は激しさを増し、視界は真っ白になる。簡素なベンチに座ってそれを眺めていたけれど止みそうもない。降ったり晴れたりしてたのに。本格的に雨に変わってしまったのかもしれない。手元に傘はなかった。天気予報なんて見ていなかったのだから当たり前だ。朝は晴れていた。さんさんと降り注ぐ陽光は柔らかく温かった。だから、油断していた。まあ、今さら何を言っても遅い。田舎のバス停。一時間に一本ペースのバスは先ほど行ってしまった。当分、ここに人は来ないだろう。と、思ったら何やら目の前から何かが走ってくる。白い物体。それは徐々に近づいてくる。＿＿人間。
「入れてくれ！」
白い物体、否、白いフードを被った男。滴る水は地面をポツポツ濡らす。男は肩で息をしていた。顔は見えない。「やあ、ひどい目にあった」そういう彼は確かに全身びしょびしょである。バックの中からタオルを取り出す。
「タオルどうぞ」
「あぁ、ありがとう」
「はい」
足の先を見つめる。濡れて帰ってもいいがさすがに雨が強い。久しぶりに履いたミュールは容赦なく足を締め付ける。日ごろの行いが悪いのだろうか。
「きみも運が悪いなあ」
男の声が鼓膜を揺らす。何気なく視線を上げた。その瞬間とき、時間が止まった。
＿＿きれい、
パーカーを脱いだ男は美しかった。白銀の髪。白い肌。その中に浮かぶ金の眼。肌を滑る水すら彼を引き立てる。
「どうした？」
男に問われてようやく時間が動き出す。
「なんでも、ありません」
「そうか」
男はタオルで髪をわさわさと拭くと私の隣に腰をおろした。距離はそんなに離れていない。せいぜい３０センチあるかないかだろう。雨に降られて雨宿りしてる同士だが、所詮は他人。特に話すこともないのだから、なんだか気まずい。こんな美人そうそういないものだから、余計に緊張してしまう。手持ちぶさたでどうしようもなく、目の前の景色をぼうっと眺める。暗く重たい雲。そこから降る雨は鋭く、地面を叩きつける音が小気味良く響く。
「なあ、」
隣から聞こえた声。視線を向ければ男は面白げに口の端を上げてこちらを見ている。何かおかしなことでもしてしまったのだろうか。
「きみは不思議だな。赤の他人なのに、初めて会った気がしないんだ。君の隣は落ち着く」
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秋音(プロフ) - リリスさん» 返事が遅れてしまい申し訳ありませんでした！はい！時間が大分かかってしまうかと思いますが、書かせていただきたいと思います！ (2017年12月29日 0時) (
レス) id: b4a58524d0 (このIDを非表示/違反報告)
リリス(プロフ) - リクエスト、いいでしょうか？ もしも、明石国行が蛍丸達の事を忘れてしまったら。お願いします！ (2017年12月27日 22時) (レス) id: 784ce9f04f (このIDを非表示/違反報告)
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