【刀剣乱舞】もしも、があるなら ２《短編集》

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淡々と主は言い切った。この人は頑固だ。とても。その矜持は臣下として誇らしく思う。けれど、甘くみないでほしい。

「俺は貴女の臣下です。主の命ならばどんなこともやり遂げてみせましょう。主、知ってますか？長谷部、という刀は主のお役に立つことをなによりも望む刀です。俺を必要と思うなら戦の他にも使って下さい。俺は……、貴女の負担を減らしたい」

嘘偽りのない本心。
主として、不足はない。だがこの方は周りに頼らな過ぎる。もっと頼って欲しい。この閉塞的な空間で貴女は時々ひとりだ。その心には入れてくれない。どうか、添わせて欲しい。貴女の心に。人間は弱い生き物だ。どんな強者でも折れる時は簡単に折れてしまう。沈黙が続く。視線は交わっていた。

「資材の、現状管理の報告書をまとめようと思うの。……手伝って、もらえる？」

ぎこちない言葉。
主にしては珍しい伺いたてるような目はなんだか叱られた子どものようだ。可愛らしいと思う。

「主の仰せのままに」

胸に手を当てて、軽く頭を下げる。雰囲気で主が笑うのがわかった。

「長谷部。もう少しだけおまえの羽織、借りていてもいいかしら？」

俺のカソックを胸元に引き寄せる主。藤色に染まるその人は美しい。やはり、貴女は藤が似合う。俺と、同じ。衷心から迫り上がる歓喜。じわじわと身体を満たすのはなんの欲か。貴女が俺を頼って、縋る日を待っている。


「いつまででも。俺は主の刀ですから」

もしも、明石国行とこんな話があったなら《リリスさんリク》→←もしも、へし切り長谷部とこんな話があったなら

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