花と蝶の双子【栗花落カナヲ】

19話 ページ21

外からは何か争う音が聞こえる……と思ったら、善逸がとんでもないことを叫び始めた。

とても人前……特に女性の前で言うべきではないような言葉が、汚い高音と共に訓練場まで聞こえてくる。

……この件によって、我妻善逸は完全に危険人物と見なされるのであった。



それはともかく、機能回復訓練が始まると、女の子に触れられると善逸はやる気を出し、それに触発された伊之助も普段より俄然やる気が出ていた。


「カナヲちゃん！！反射訓練の相手を……」

「どこへ行くんですか善逸さん。あなたの相手は僕ですよ？」

「はいぃぃぃ！！」

「じゃあ俺様の相手はお前だな！いつでもかかって来い蝶女！」

「………」

カナトとカナヲの相手をするまでは。


「はい、の合図で始めます」

「…………」

「……はい！」

「ぶわっ！？」

「うおっ！？」

かけ声と同時にカナトとカナヲは湯飲みを掴み、薬湯を掛ける。

「僕の勝ちですね」

「………」


その後の全身訓練でも、アオイを捕まえることはできたが二人を捕まえることはできず。

捕まえられないどころか軽く足蹴にされた善逸と伊之助は心が折れ、とうとう訓練をさぼるようになったのだった。


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大正コソコソ噂話

カナトは意外と格闘術ができます。

小回りの効く体格や瞬発力を活かした突きや蹴りが得意で、全身訓練では手加減はしていましたが、アオイに手を出そうとする善逸を蹴っ飛ばしていました。

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