花と蝶の双子【栗花落カナヲ】

17話　炭治郎視点 ページ19

隠の人はカナヲに屋敷へ入って良いか確認する。

しかし、カナヲは微笑むだけで何も言わない。

隠の人が困っていると、後ろから誰かに声をかけられた。


「何か、ご用でしょうか？」

「あ、栗花落カナト様……」


振り返ると、カナヲと瓜二つの顔をした男の子が立っていた。

紫と水色の大きな蝶の髪飾りを付け、柔らかく微笑む姿は、あの柱の女の人……胡蝶しのぶさんにもよく似ている。

名字も同じだったし、この子がカナヲと双子の、もう一人の継子なんだろう。


「あの、私達胡蝶様から言いつけられておりまして……」

「ああ、分かりました。こちらへどうぞ」

「はい」


カナトに着いていくと、病室らしき部屋の一つに案内される。

部屋から聞こえてくる汚い高音は、どこか聞き覚えがあるような………。

部屋に入ると案の定、善逸が泣き叫んで側にいる女の子を困らせていた。


「え！？この薬、一日五回も飲むの！？これ飲んだら不味すぎてご飯食べられないんだけどおぉぉぉ！？」

「……善逸さん？嫌なら飲まなくても」

「いえ！頑張って飲みますうぅぅぅ！！」


しかし、カナトに満面の笑みで迫られると途端に善逸は大人しくなる。

……俺が柱合会議に行っている間、一体何があったんだろう。

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