一途 ページ9
例え紫怨でも、鬼の始祖である無惨には逆らえない。
無惨がそう望めば、きっと紫怨は従うだろう。
しかし、無惨は無理矢理にでも彼女を従わせたいとは思わなかった。
単純に、力任せにしなければ女一人手に入れることすらできないというのは、無惨にとって認め難いことであるからというのもあるが。
無惨は、彼女本来の強さ、美しさを損ないたくなかった。
紫怨には恐らく、心を決めた男がいるのだろう。
その男のことを考えると腹が立つが、だからといって紫怨の邪魔をするつもりはない。
一途にその男を思い、大切にする紫怨だからこそ気に入ったのだ。
もし紫怨が簡単に従い、媚びるような女だったら、整った容姿を褒めることはあっても、惚れ込むことはなかっただろう。
それに、たまには叶わぬ恋に悩んでみるのも悪くはないものだ。
……これが、今の無惨の考えだった。
何だかんだで、無惨も一途なのである。
最も、この気まぐれがいつまで続くかは誰にも分からないのだが。
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木春菊(プロフ) - 猫丸さん» 感想ありがとうございます。楽しんで頂けたなら良かったです!他の小説も頑張っていきますね! (2020年8月17日 22時) (レス) id: 53ae1c88c5 (このIDを非表示/違反報告)
猫丸 - とても素晴らしい小説ですね!さらっと読めるのに内容は濃くてとても面白かったです!(なんか食レポみたい?)貴方様の他の小説も読ませて頂きます。他の小説も頑張ってください![長々と失礼しました] (2020年8月17日 18時) (レス) id: b42424beae (このIDを非表示/違反報告)
木春菊(プロフ) - pookyさん» コメントありがとうございます!掛け持ちしているので更新が遅くなりますが、頑張ります! (2020年8月6日 21時) (レス) id: 53ae1c88c5 (このIDを非表示/違反報告)
pooky - 面白そうですね!頑張ってくださいね! (2020年8月6日 19時) (レス) id: 012e567f90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木春菊 | 作成日時:2020年8月4日 23時