涙 ページ17
紫怨はその美貌を歪め、鬼らしく牙と爪を剥き出しにしていた。
一刻も早く、逃げなくては。
小芭内と蜜璃の本能は警鐘を鳴らすが、体が思うように動かない。
二人の体は、紫怨の血鬼術で深く傷ついていた。
痛みと恐怖で動けずにいる二人に、紫怨が爪を振り下ろした、その時。
「大丈夫か」
「遅れてすみません!」
水柱・冨岡義勇と日の呼吸を継ぐ者・竈門炭治郎が現れ、紫怨の両腕を斬り落とした。
紫怨はすぐさま腕を再生し、新たに現れた二人と対峙する。
……すると、義勇と目が合った。
「………!」
「俺の顔が、どうかしたのか」
紫怨は義勇の顔を見つめたまま、止まっている。
驚いた表情をしているかと思うと、突然涙を一筋流した。
「……か、ず」
「………?」
「ど、どうしたんですか?」
先程までと違い、静かに涙を流す様子はとても鬼には見えず、炭治郎は思わず心配してしまった。
しかし、義勇は紫怨の様子を気にせず刀を向ける。
「ぎ、義勇さん!?」
「……何だ」
「えっと、その……」
「……この鬼は上弦の零だ。甘露寺と伊黒がここまで追い詰められている」
「はい……」
「……情けをかけるな」
義勇は刀を握る力を強めると、紫怨に向かって一歩踏み込んだ。
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木春菊(プロフ) - 猫丸さん» 感想ありがとうございます。楽しんで頂けたなら良かったです!他の小説も頑張っていきますね! (2020年8月17日 22時) (レス) id: 53ae1c88c5 (このIDを非表示/違反報告)
猫丸 - とても素晴らしい小説ですね!さらっと読めるのに内容は濃くてとても面白かったです!(なんか食レポみたい?)貴方様の他の小説も読ませて頂きます。他の小説も頑張ってください![長々と失礼しました] (2020年8月17日 18時) (レス) id: b42424beae (このIDを非表示/違反報告)
木春菊(プロフ) - pookyさん» コメントありがとうございます!掛け持ちしているので更新が遅くなりますが、頑張ります! (2020年8月6日 21時) (レス) id: 53ae1c88c5 (このIDを非表示/違反報告)
pooky - 面白そうですね!頑張ってくださいね! (2020年8月6日 19時) (レス) id: 012e567f90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木春菊 | 作成日時:2020年8月4日 23時