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彼はよく親父ギャグを言う。




彼にとっての親父ギャグは人間関係における潤滑油のような役割を担っているものなのだと思う。




例えば、初対面の人と2人でいる時。話しかけるにしても共通の話題がなく、困ることがある。



普通なら"今日は天気いいですね。"だとか、"最近朝と夜は冷えますよね。"たとか程よく人との距離を保てる、当たり障りのないテンプレ化された会話をするだろう。



彼の場合はそういう状況下で親父ギャグを使うのだ。……そうするとどうなるか。


面白い面白くないに関係なくどこか距離が近くなるのを感じる。


その上、心を開いて貰いやすくなる。



さらに場の空気も天気の話をするよりかは和む。








そんないい事ずくしの親父ギャグだけれど……とにかく当たり外れが激しい。








『面白いと思いますし、好きなんですけれど―――笑ったことがあまりなくて。』




「や〜。酷くないか?Aはいつも笑ってるじゃないか。

あれは嘘か?!」



何だか必死になってるから、




『あ、強いて言うなら……

"牛の群れが歌を歌うと?"ってやつが好きです。』



あれは―――


何かのテレビ番組で、牧場の映像が流れていたのを一緒に見ていた時。






"牛の群れが歌を歌うとどうなると思う?"とボソッと呟いた。






彼のギャグは少し、なぞなぞみたいな所があって。





考えているうちに"団体訴訟だよ"と言われた。





何が何だか分からなくて。





一つひとつ頭の中でハングルを思い浮かべた。

牛(소)、歌(노래)、訴訟(소송 )





歌=ソング(송)だと理解したときに





時間差でじわじわ笑いが込み上げてきたのを覚えている。








彼はその言葉に自信を付けたらしい。



「皆さん、"牛の群れが歌を歌うと?"」なんて記者の皆さんにマイクを向け、



直ぐに自分の方に向け直すと、ドヤ顔で





「"集団訴訟"です。」と言った。















………………。









一瞬にして会場の空気が寒々しくなった。



「や〜、A!面白いって言ったから、僕が自信もって皆さんに言ったのに、ウケないじゃないか!」



と顔を真っ赤にしながら言われ、こっちまで恥ずかしくなる。














この時間が、喧嘩をする前に戻ったようで何だかとても楽しかった。









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作者名:ERI | 作成日時:2019年4月29日 22時

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