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仕事帰り、電車に揺られているとポケットに入ったスマホが振動した。
取り出すと、[義兄さん]の文字。
家族になった事で義兄さんの連絡先を知った。
義兄さん自身も家庭を持っていることもあり、今まで1度も電話がかかってきたことがなかった。
―――――急用だろうか?何かあったのかな。
電車内だから出ることも出来ず、やむおえず赤い方にスライドした。
電車が止まって、人が降りていく。
最寄り駅まであと1駅だけれど、珍しい義兄さんからの電話の内容が気になって私もその駅で降りた。
改札を出て、
着信履歴から"義兄さん"を選択。
思っていたよりも早く出てくれた。
『お久しぶりです、Aです。お電話貰ったのに出れなくてごめんなさい。』
<おー、Aちゃん。元気だった?>
『ええ、おかげさまで元気です。』
<……もしかして外にいるの?
今、時間大丈夫?>
『大丈夫です―――――帰宅中なので。』
<そっか、お仕事ご苦労さま。>
『義兄さんこそ。ご苦労さまです。』
<早速、本題なんだけど……。
悪いんだけど、弟を迎えに来てくれないかな?>
ちょうどいい、
連れて帰れば話し合いもできるし、書類にもケリがつくはずだ。
『分かりました。今、どちらですか?』
<お店――――あ、ほら共同の。>
『あ、あそこですね。』
<ほんとに、迷惑な弟だよ!
"お店、CLOSEしてくれない?"って一方的に電話切られて。
来たと思ったら、
ハイペースで呑んで潰れやがって。>
『まったく……。酷いですね笑
あ、今ちょうど帰宅しました。
準備してから車で向かうので15分くらいで着くと思います。』
<ごめんね。
今日妻の誕生日じゃなかったら、
責任もって面倒見るつもりだったんだけど――――
着いたら裏口開けとくからそっから中に入ってもらう感じかな。
じゃあ……待ってるからね。>
『奥さんのお誕生日なんですね、おめでとうございます。
奥さんのためになるべく早めに向かいますね!』
電話を切ると、
彼のTシャツと生理食塩水、
万が一のためのエチケット袋、
タオルを3枚ほどカバンに詰め込んで
すぐに家を出た。
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作者名:ERI | 作成日時:2019年4月29日 22時