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食器を片してから、





棚の中にあるいくつかの用意した書類を彼に見せる。







こうやって書類を囲んでいると、何故か結婚届けの時を思い出す。



結婚を決めて、日本と韓国両国の手続きが必要でバタバタしながら準備したなぁ。


彼も一生懸命手続きの準備を手伝ってくれた。






例えば――――





私達は先に日本で手続きをすることを決めて。



そこで貰った結婚受理証明書を韓国語に翻訳をして、韓国の役所に提出するのだけれど、私が書いた韓国語の翻訳に一部違和感があったらしい。


彼がこっそり修正してくれたり、



韓国で外国人登録証の申請をする時。
説明書に書いてある内容の単語が日常では使わないものばかりで、困っているのを察して、彼も日本語が苦手なのに必死に和訳してくれたり。





そんなことを振り返っていると、


彼が一通り見終わり、印鑑とサインをしていた。




『何も、問題なかった?』





「うん。」









これを提出すれば彼との結婚は終わる。





やっと解放される。






―――――そう、思っていたのに。









―――――これが、彼の術中にハマった決定的瞬間だった。









これから、予想もしない出来事が起こりうるなんて。









この時の私は露ほども、考えなかった。









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作者名:ERI | 作成日時:2019年4月29日 22時

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