Medicine or Poison<過去編> (ページ2)

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ひとしきり笑い、

「僕………………だから、ついてきて。」

最初の方は私の残念な韓国語能力によって聞き取れなかったけれど、

"ついてきて"だけは聞き取れた。

そう言われてついて行く間に

ふと、思い出したように

「What's your name？」

「Where are you from？」

なんて真剣な顔して言うものだから、

今度は私が堪えきれなくて吹き出す番だった。

私が笑うと、彼も笑った。

ただし、今度の笑い方はさっきのように爽やかじゃなくて。

窓を拭いているような、

それでいて、なんだか陽気な音と共に

なんとも残念な笑い方だった。

簡単な英語を通じて、

私がAという名前であること、日本から来たということ。

3週間この大学の語学堂に通うということ。

日本では薬学部に入学したばかりであることを伝えた。

そして、彼の名前はキムソクジンだということ。演劇学科に在籍していること。

彼が私よりも1歳、年上だということ。
ピンクが好きだということを知った。

「ここだよ。」

建物の外までじゃなく、丁寧に教室の前まで案内してくれた。

『ありがとうございます。』

とお礼を言って中に入ろうとすると、

突然掴まれた腕。

「待ってな。」

そう言うとゴソゴソと鞄の中からボールペンとポストイットを取り出して何やら書く彼。

書き終わると、

私の手のひらに握らせ、颯爽と帰って行った。

教室に入り、ポストイットを見る。

韓国語がぎっしり書かれていた。

文字が詰めて書かれていたことや、キムソクジンという人の書いた字が少しだけ癖があったせいでなかなか見づらい。

……解読したいな。

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