14話 ページ15
あの後もギャイギャイと
言い争っている猫と1人をユウと
苦笑いしながら見物していると、
「こんばんはー
優しい私が夕食をお持ちしましたよ」
「あっ、学園長」
学園長が持ってきてくれたお盆の上には
パンやシチュー、サラダなどが人数分のっていた
「……って、それは先ほど入学式で暴れた
モンスター！追い出したはずなのに何故ここに！？」
「不法侵入でーす」
「こら、伊吹」
「不法侵入とは失礼なんだゾ！
オレ様がお化け退治をしてやったんだゾ！
感謝しろっ！」
「ん？どういうことです？」
学園長が私とユウを交互に見つめると
ユウがグリムとのお化け退治のことを簡潔に纏めて伝えてくれた
「そういえば、この寮には悪戯好きのゴーストが住み着き生徒達が寄り付かなくなって無人寮になっていたのを忘れていました」
それ忘れていいんですか、学園長隣りのユウもこれには困った顔になってるし伊吹は横で
「あぁ、だからこんなにお化け屋敷感満載なのか」
と1人で納得している
「しかし、ふぅむ....貴方達2人で協力してゴーストを追い出してしまうとは」
私も手伝ったけど...
ここはユウとグリムってことにしとこ
「協力とは聞き捨てならねーんだゾ
ソイツはほとんど見てただけだったし？
オレ様はツナ缶が欲しくてやっただけだし？
フガっ！」
「お前ちょーっとの間黙ってような」
伊吹もこの話しの流れを察してくれたのか
後ろからグリムの口を塞いでくれた
グッジョブ！
「おふたりさん
ゴースト退治もう一度見せて貰えます？」
「え？」
「イテっ！お前なぁ！」
困惑しているユウに何が不満なのか伊吹の
手を噛んで拘束から逃げたグリムはこう言った
「ゴーストは全部追い払っちまったんだゾ！
それよりツーナー缶ー！」
「ゴースト役は私がします。私に勝てたらツナ缶を差し上げましょう。私、優しいので」
そんなにツナ缶が好きなのね
グリムはツナ缶に釣られて喜んでるし
ユウの背中を2人でポンっと押すと
「僕...頑張ってみるよ」
「おー！行けユウ！グリムの狸に負けるなー！」
「協力だって言ってんでしょうが」
「では、変身薬をごっくん」
小さな小瓶に入った液を飲み干すと
あら不思議、学園長がゴーストになりました
さすが異世界、なんでもありだな
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作者名：翠連華 | 作成日時：2020年5月31日 0時
