≪02≫殺せんせーションズ 外せないLock

１７話 ページ38

◆side:SHINOBI





今回の仕事は、結果だけ見れば成功。
だけどそうは思えないくらい、家の空気は重い。

ファルコンは肩を怪我した。
ラピも３日間は意識不明で危険な状態だった。

誰ひとり欠ける事がなかったのは、正直奇跡だ。

いつもだったらピンチも時が経てば笑い話に出来る、はず。
ただ、こればっかりは。
今回ばかりは、そうはいかない。


「・・・・・・うっ、」


今回は、ファルコンたちがお世話になってた施設長さんからの依頼。
その仕事の結果を纏めた報告書を作らないといけないから。
だから、現場の写真は毎回残しておくらしい。

だけど、この写真だけは、何度見ても吐きそうになる。

床を埋め尽くす程の血溜まり。
穴だらけの胴体。
人相どころか原型すら分からない顔。

こんなえげつない死体は初めてだった。


(やっぱり、ラピの怪我が引き金になったんだよね・・・？)


オレは、スコープの“スイッチが入る”瞬間を見ていない。
だからファルコンからの又聞きになるけど、きっとそのままなんだろう。

だって、あんなに明るかったファルコンが怯えていた。
付き合いが長い筈のファルコンすらも。

誰も知らなかったんだ。
スコープが抱えていた爆弾。
そのスイッチを。


「・・・よし、終わった。」


半ば流れ作業で報告書を完成させる。
今のオレ達は、こんなものを作っている場合じゃない。

ただでさえ、こんな仕事をしているのに。
気まずくなってチームワークが乱れれば、それこそ全滅の危険性だってある。

その前に、どうにかしなきゃ。

スコープが抱えている負担。
みんながスコープに抱いた恐怖心。

そのどちらも、どうにか少しでも取り除きたい。
家族になって日が浅いオレだけど、みんながギクシャクしているのは、やっぱり見てられないから。





◆





記憶というのは厄介なもので、時折過去の光景がフラッシュバックしたりする。
オレだってそうだし、みんなもそうみたいだ。


「あ、SHINOBI・・・」


部屋の前を通ろうとした時、ふらふらになったコマンダーが出てきた。

今回の陣頭指揮はコマンダーだった。
それで二人も怪我をさせてしまったから、負い目を感じているのかもしれない。


「コマンダー、平気？」

「・・・うん・・・平気。大丈夫。」


似たような言葉を続けて、無理矢理笑顔を作っている。
それに、平気も大丈夫も、半分は自分に言い聞かせてるみたいだった。

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