≪02≫殺せんせーションズ 外せないLock

・ ページ16

◆





「・・・ね、ねぇ、スコープくん。」

「ん、どした？」


勇気を持って、恐る恐る話しかける。
仕事でも、こんなに緊張したことなんてない。


「えっと・・・その・・・」

「何だよ、どっか具合でも悪ぃのか？」

「違くて、あの・・・」


やっぱり、ちょっと怖い。
でも、ラピくんは優しい人って言ってた。

信頼。
おれも、ラピくんをもっと信頼しよう。


「・・・サッカー、スコープくん、に、教えてもらい、たい、の。」

「・・・サッカー？」


おれの言葉に、スコープくんはぽかんとした表情。
だけど、すぐに笑顔になった。


「何だよ早く言えよ。じゃあみんなも呼んで庭来いよ！」


ぐしゃり、ちょっと乱暴な手つきで頭を撫でられる。
そして、すぐに走り去ってしまった。


「・・・ほんと、だ。」


ラピくんが言ってた通りだ。
言葉遣いはぶっきらぼうだけど、ほんとに優しい。

ちょっとは、距離が近づいたかな？





◆





そんなこんなで、家の前にある開けた場所。
そこで、３対３の変則サッカーは行われた。

ゴールキーパーもいない、ほんとの変則サッカー。
だけどみんな、全力で楽しんでる。

そして、その休憩中。


｢ね、サッカー好きだったでしょ？｣


隣に座ったラピくんの言葉に、おれは頷いて返す。


｢いやぁ、それにしても疲れたねー。｣

｢・・・ね。仕事、でも、ここまで、疲れ、ないの、に。｣

｢全力で楽しんだからだよ、たぶん。｣

｢ん・・・・・・。｣


不思議だ。
だけど、嫌な気はしない。

むしろちょっと、楽しい。


｢ラピー、コマンダー、何サボってんだよ続き始めるぞ！｣

｢｢はーい。｣｣


スコープくんへの返事が、見事にハモる。
ラピくんは照れ臭そうに笑ってる。


｢じゃ、行こっか。｣


そして、おれの手を取って走り出した。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す