2話 ページ4
.
うえ…ぐるぐるする……。
気分が悪い。
体も痛い…視界も悪い…。
暗い狭い…ここはどこ……？
なんだか本当に頭がぐるぐるする…まるで回っているような…。
あ、とまった。
それにしても、すごく狭い。そして暗い。
私達は船の上にいたはずよね。
あぁ…そういえば、大渦にのまれたんだっけ。
私達死んだのかな…。
それなら、もう少しだけ寝させて…。
死んでしまったのなら、誰も文句なんてないでしょう。
深く…深く……眠りたい……。
「あーーーっ！！！！よく寝たーーーーっ！！！」
『うるさい！！！』
思わずその叫び声の主の腹に、一発パンチを入れる。
まるで蛙の鳴き声のような呻き声を上げたルフィを軽く睨みつける。
死んではなかったけれど、目覚めが最高に悪いわ。
ルフィのこの得体の知れない身体の底から湧いてくる元気にはいつも悩まされているけど、今のは流石にうるさい。
「突然殴んなよ〜！A〜」
『私は突然大きな声を出されてびっくりしたんです。条件反射だよ』
「酷い」
酷いで結構だよ。
べーっと軽く舌を出しながらルフィを睨みつける。安眠妨害をした罰だよ。
『もう…安眠妨害されるわ、体は痛いわ…踏んだり蹴ったりだよ…ルフィはゴムだからいいものの…』
まさかあの大渦に巻き込まれてる中、無理やり酒樽に押し込まれるとは思わなかった…。
ルフィ一人だけならまだしも、私まで押し込むとは…。
「しょうがねーだろー？ああしねーと死んじゃってたんだぞ。それにお前チビだから案外すんなり入ったしな」
『チビっつーな！』
「すんません」
ったく…。私にチビって単語はタブーなの知ってるくせに絶対使ってくるルフィは意地悪なのか馬鹿なのか。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 9人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瀬成 | 作成日時：2024年1月5日 13時
