27話 ページ29
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『思い上がるなよ…』
ボソリと、聞こえるか聞こえないかの程度で呟くと同時に、ロロノア・ゾロが磔にされていた丸太を引っつかむ。
そして
『うらァ！！！』
地面から思いきり引っこ抜いた。
「はァァ！？！？」
海軍たちの有り得ないとでもいうような、叫び声を背に、ロロノア・ゾロを抱きかかえ海軍とは反対の向きにする。
これで多少は平気だと思う。
「お、おま…」
『ここで死んでもらうわけにはいかないですから。それに、あなたもここでは死ねないでしょう？』
それだけいって、ロロノア・ゾロの背を守るように前へでた。
正直私には破壊とかそこら辺しかできないし、前に出たところで戦えるのか？といわれればNoだけど、守ることは出来る。
誰かの代わりに銃弾を請け負うことはできる。
怖いけれど。
「構わん！！射殺しろ！！」
その声と共に、ぎゅっと目を瞑る。
衝撃に耐えるように。
目を瞑ったところで耐えることなんてできないのだけど。
だけど、目を瞑って耐えようとした痛みは、一向にやってはこなかった。
恐る恐る目を開けてみれば、目の前には見知った背中が。
『ルフィ！』
「効かーーん！！！！」
見知った赤いシャツと響き渡るルフィの笑い声に、ほっと胸を撫で下ろす。
「A、頑張ったな。だけど、生き急ごうとするなよ」
『うん、ごめん』
ルフィは軽く私の頭を撫でると、帽子を被り直し再び海軍へと向き直った。
「てめェ…！！一体何者なんだ！！！」
銃弾を全身に受けて死ぬどころか怪我一つしていない姿を見れば誰だって疑問に思う。
ロロノア・ゾロの疑問はご最もだった。
「俺は海賊王になる男だ！！！ほら、お前の宝物どれだ？わかんねェから3本もってきちゃった」
もってきちゃったって。
いい方に思わず笑ってしまう。
「…お前…」
『え？』
「いや…なんでもねェ。三本とも俺のさ。おれは三刀流なんでね…」
一瞬ロロノア・ゾロが目を見開いて、なにかいっていた気がしたけれど、なんでもないといわれはぐらかされたので結局わからなかった。
「ここで俺たちと一緒に海軍と戦えば政府にたてつく悪党だ。このまま死ぬのとどっちがいい？」
ニヤリとした表情で問いかけるルフィは、ここにいる誰よりも悪い顔をしていた。
それ…どっちも悪いやつじゃないの。
流石というべきか、なんというべきか。
「てめェは悪魔の息子かよ…まァいい…ここでくたばるくらいならなってやろうじゃねェか…海賊に！！！」
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作者名：瀬成 | 作成日時：2024年1月5日 13時
