25話 ページ27
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『すみません！コビーくん！！』
思わず押し飛ばしたことに謝ってしまう。
どうか当たらないように…！と祈って押し飛ばしたけれどやっぱり間に合わなかったのか、どうやら少し掠ってしまったようで、コビーくんは悲鳴をあげていた。
「あああああ！！！撃たれたあああ！血だああ！！血がでたあああ！！！死ぬううああ〜〜〜っ！！！」
なんとか急所は避けられたようだった。
それに漸く、ほっと息を吐いた。
『それだけ大きな声がだせれば平気ですよ。少し待っててくださいね』
さっきもってきた岩……何処やったかな…。
と、キョロキョロしているとロロノア・ゾロが口を開く。
「よく気づいたなお前…」
『私、視力はいいんです』
「そうか。それより、お前らは直ぐに逃げろ。あいつらが下りてくるぜ」
視力はいいとはいったけれど、さっきのはロロノア・ゾロの方向からは見えなくとも私たちの方向からはなんとなくで見えた。
きっと私でなくとも見えたと思う。
それに、あなたがさっきその方向を睨んでいたの知ってるから。
あいつらが下りてくる、ともいっているし、見えなかったわけではないと思う。
そんなことを思いながら、見渡してようやく岩を見つける。
私そんな所に置いてたんだ…と思うようなあまり見えない茂みに置いているのを発見した。
『よいしょ…』
その岩をもう一度運びだし、ロロノア・ゾロの元へもっていく。
「な、何を…」
まるで奇怪なものを見るような目でロロノア・ゾロはそう聞いてきたけれど、今はそんなのに答えている暇はなかった。
なにしろ、あいつらが下りてくる前に一発でも当ててやんないと気が済まない。
『ハアァァッッ！！！！』
体の中心に力を集中させ、目的の物体へ意識を集中させる。
そしてその声と共に、運んできた大きな岩を思いきり殴った。
ドカァ！！という物凄い衝撃音が聞こえ、砂埃が立ちこめる。
「ケホッケホ…！」
『すみません』
砂の上での破壊は苦手なのよね…。
砂埃…苦手だわ。
漸く砂埃も止み、視界が開けてくる。
先程の岩があった場所にはもはや岩とはいえないものが散らばっていた。
そう……私が素手で木っ端微塵にしたんです。
直径約3センチほどになった石の塊を拾い上げ、私は先程光が見えた場所へ視線をあげる。
そして、思いきり、効果音でいうと「ブォン！！」と勢いよく投げた。
数秒後、ガシャァンッ！という音が聞こえ漸く満足した私は再びロロノア・ゾロの縄解きに取り掛かる。
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作者名：瀬成 | 作成日時：2024年1月5日 13時
