21話 ページ23
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「お前はいつも笑っていればいいんだけどな」
『無理だよ』
ルフィの言葉でスっと真顔になる。
『私が言葉を崩せるのも、笑えるのも決まった人にだけ。それはこれからも変わらない』
私の言葉にルフィは軽く笑って、わかってる、ただそれだけいった。
馬鹿で鈍感で単細胞のくせに、ちゃんと考えてくれてる。
無理強いはしないし、何よりもルフィは優しい。
『…ふぅ…』
小さく息を吐いて、再び歩き始める。
いつの間にか歩みを止めていたらしい。
気がつかなかった。
ロロノア・ゾロの場所まであと少しだし、ルフィも足速いし、急がなきゃ
と思って走り出そうとするけれど、ちょっと待ったと自分に静止をかける。
『コビーくん、何かちょうどいい岩ってないですか？』
「…えっ、あ、岩ですか！？」
隣でぼーっとしていたコビーくんに「岩をください」と伝えると、意識は戻ってきたけれど意味がわからないという顔をして岩を探し始めた。
確かに少し突拍子なかったかな。
「あれなんてどうですか？」
『あー…ちょっと大きいけど…あれでいいです。もっていきますね』
「え？持っていく？あれをですか！？」
『はい』
私は地面に埋まっていた岩をよいしょと持ち上げて、そのまま走ってルフィを追いかけた。
後ろでコビーくんの「えぇぇぇ！？！？」という声が聞こえたけれど気にせず走った。
直径1メートル、重さ50ってとこかな。
少し大きいけどまあ大丈夫でしょう。
「またそんなのもって、どーすんだ？」
『何かに使えるかなって』
ルフィは私のこの行動を笑って見ていた。
いつもやっていることだから慣れたとかなんとかいってたけれど、昔はよくびっくりされてた気がする。
高さ3メートル、重さ300キロのクマを抱えて帰った時は腹抱えて笑われたのを覚えてる。
「それはどのくらいなんだ？」
『50』
「グラム？」
『キロよ』
そういえば、ゲラッゲラと今にも転がりそうな勢いでルフィは笑っていた。
前はこんな自分が少しだけ恥ずかしかったけど、これが誰かを守ることに繋がるって知ってからは自分の能力を高めることにばかり集中していた。
そしたらこんな見た目か弱い、中身ゴリラに育ってしまった。
正直悲しい。
未だ笑っているルフィを横目に私はさっさと海軍基地を目指した。
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作者名：瀬成 | 作成日時：2024年1月5日 13時
