17話 ページ19
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「で？まさか縄をほどいてやるから力を貸せだのいいだすんじゃねェだろうな」
あながち間違っていない。
でも、今はまだそのときではない。
ロロノア・ゾロが本当に悪い奴なのかいい奴なのか見極めないと。
って、海賊やってる私達は既に悪い人に入るんだろうけど、いい奴だったら仲間にするって…これは海賊の考え方なのだろうかと思ってルフィの後ろで少し笑ってしまった。
「俺にはやりてぇことがあるんだ！！お前に逃がしてもらわなくても俺は自力で生き延びる！！一ヶ月ここに生きたまま突っ立ってりゃ助けてやるとあのバカ息子が約束してくれた」
ロロノア・ゾロは本当に約束は守る、そんな男らしい。
でも、私はなんだかあのバカ息子は約束を守るなんて到底思えなかった。
「なにがなんでも生き延びて、俺は俺のやりたいことを成し遂げる！！！」
そういうロロノア・ゾロの真っ直ぐな目はルフィに似ていた。
やりたいこと、か。
私にとってのやりたいことってなんだろう。
ルフィやロロノア・ゾロみたいに、命をかけてでもやりたいことってあるのかな…。
考えても、見つからなかった。
仲間になることを断られた私達は、その場を離れようと踵を返すけれど、ロロノア・ゾロは再び私達を呼び止めた。
「それ…とってくれねェか」
�爐修讚瓩箸蓮△△離丱�息子が踏んづけた、女の子が作ったおにぎりだった。
それは、もうおにぎりと呼ぶには難しい、泥の塊という言葉の方が合っていた。
だけど、ロロノア・ゾロはそれを食わせろといって聞かない。
それを見たルフィが捨てられたおにぎりを全てかき集め、ロロノア・ゾロに食べさせるけれど噛んだ時に聞こえる音がなんとも壮絶で耳を塞ぎたくなった。
流石にこれは…やばいのでは…。
大丈夫かなぁ…。
「だからいったろ。死にてェのか？」
冷静にツッコむルフィは中々に見られない気がする。
普段は完全ボケ担当だからね。
「あ…あのガキに伝えてくれねェか…！！」
「何を？」
「「うまかった、ごちそうさまでした」…ってよ」
その言葉に軽く目を見開いた。
今にも吐き出しそうな、苦しそうな声でそういった彼はいい奴かどうかなんてすぐには決められないけれど、でもまあ、存外悪い奴ではないのかもしれない。
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作者名：瀬成 | 作成日時：2024年1月5日 13時
