16話 ページ18
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『ふざけてる…』
何を考えているの。全くもって理解ができない。
食べろなんていっていないし、勝手に奪い取って食べてまずいっていって吐き捨てて踏み潰して……。
『何様のつもりよ…』
怒りで震えるのがわかる。
そんななか、私の真横を黒いものが勢いよく飛んできた。
「きみ…大丈夫！？」
なんと、さっきの女の子だった。
バカ息子の命令で投げ飛ばされたのだ。
なんとかルフィが受け止めてくれたけれど、
『おかしいよ、アイツ。イカれてる』
「…」
ルフィは無言で私の頭をぽんぽん、とする。
思っていることは同じようで、だけどなにをするわけでもなく、ただただ私を宥めようと静かに頭を撫でる。
あのあと、バカ息子は下品な笑い方をしながら消えていった。
それを見たルフィと私は同時に壁を下りて、中へ入る。
「なんだてめェら、まだいたのか。ボーッとしてると親父にいいつけられるぜ」
「まァね」
私はルフィの後ろへ隠れながら様子を伺っていた。
「そこの女」
『！？』
突然話しかけられ、肩がビクッと跳ねてしまう。
『なんですか』
「啖呵切ってくる割には、目の前には来ねえんだな」
その言葉にぐっと唇を噛んだ。
「ははっ、見てみなきゃわかんねェつってたのにやっぱ目の前にすると難しいか？」
『ごめん…』
眉を下げて笑うルフィに、申し訳なくなって縮こまってしまう。
啖呵は切っちゃうけど前にくるとそれは変わっちゃうわけで、目を合わさないとか話さないとか…そんなことではない。
ただ、「怖い」という単語が自分の中に生まれてしまう。
人間不信、それは容易に治せるものじゃないんだ。
「気にすんな」
軽く肩に手を置いて、ルフィは「大丈夫だ」そういってロロノア・ゾロの方へ向き直った。
「こいつはちょっと色々あってな…まあ気にすんな。それより、俺たちは今一緒に海賊になる仲間を探してるんだ」
その言葉にフッと笑うロロノア・ゾロの顔は少しだけ怖かった。
顔が血だらけだから余計にゾワッとする。
「海賊だと？ハン…！自分から悪党になり下がろうってのか、御苦労なこって…」
「俺の意思だ！海賊になりたくて何が悪い！！」
ルフィはいつでも、真っ直ぐに前だけを見ている。
誰になんと言われようとその意思だけは曲げない。
そこが凄いところではある。
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作者名：瀬成 | 作成日時：2024年1月5日 13時
