15話 ページ17
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女の子は、タッタッタッとロロノア・ゾロの元へ駆け寄ると、「どうぞ！」と笑顔で何かを差し出した。
その何かは、なんとおにきりで、小さな女の子の手のひらにその大きくて歪な形をしたおにぎりはのっていた。
どうやらロロノア・ゾロの為に自分で握ってきたらしく、初めて作ったのかとてもおにぎりとはいえる形ではなかったけれど、頑張って作ったのだろうかと思うと胸が暖かくなった。
女の子は全く怖がる素振りを見せず、ずいっとロロノア・ゾロへおにぎりを差し出す。
そんな様子を見るあたり、何かあるのかな…と不思議に思う。
ゾロの風貌を見れば、子供は勿論のこと、大人でも怖がったり、サッと顔を逸らしたりするであろうと、若干失礼なことを思ってしまう。
「ハラなんかへっちゃいねェ！！そいつを持ってとっとと消えろ！！」
「だけど…」
「いらねえっつったろ！！帰れ！！踏み殺すぞガキ！！」
「ロロノア・ゾロォ！！！」
でも、と食い下がる女の子に対してロロノア・ゾロも一向に引かなかった。
そんなとき、突如海軍のお偉いさん的な人が、ロロノア・ゾロの名前を叫びながらやってきた。
なんともへんてこな髪型。
「いじめはいかんねぇ。親父にゆうぞ」
親の七光りか…？
突然現れた意味もわからない奴の態度に、少しだけ腹が立つ。
「また変なのが出たな」
ルフィもあまりいいようには思っていなさそうだった。
「俺の親父はモーガン大佐だぞ！！」
だからなんなのだろう。
それは自分には関係ないのではないだろうか。
ふと、そのバカ息子が女の子がもっていたおにぎりに気がつく。
そして次の瞬間にはそれを女の子から取り上げ、自身の口へと放り込んでいた。
「まずうっ！！く…くそ甘ェ！！砂糖が入ってんぞこりゃ！塩だろうが普通！おにぎりには塩っ！！」
が、女の子の作ったおにぎりは、塩ではなく砂糖を使っていたらしく、バカ息子は口に入れたおにぎりを全て吐き出してしまった。
「だ…だって甘い方が美味しいと思って…！！」
勝手に食べたくせによくいうわよ。
勝手に取りあげて勝手に食べた挙句、「まずい」そういっていた。
何様なのか、どつきたくなる衝動に駆られる。
「こんなもん食えるかボケッ！！」
そういってバカ息子は女の子が作ったおにぎりを踏み潰してしまった。
地面へ放り投げ、ぐしゃぐしゃと。
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作者名：瀬成 | 作成日時：2024年1月5日 13時
