14話 ページ16
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私たちの存在に気づいていたらしい。
それもそうか…中々に騒がしかった気がする。
「ちょっとこっち来てこの縄ほどいてくれねェか…もう九日間もこのままだ。流石にくたばりそうだぜ」
「おいあいつ笑ってるぞ」
『笑ってるね…』
驚いた。あんなにボロボロで、九日間もあの状態なのに。
笑っていられる精神があるなんて…。
普通の人間なら、笑うどころか死んでいてもおかしくはないはず。
ならこの男は、普通の人間ではないってことなの…？
「礼ならするぜ。その辺の賞金首ぶっ殺しててめェにくれてやる。ウソはいわねェ。約束は守る」
『そんなものはいらないですよ』
「Aさん！？」
『だってそんなものもらっても嬉しくないですから』
人を殺してあげるなんて、そんな約束はいらない。
そんなもの必要ない。
「だ…だめですよ！ルフィさんもAさんもあんな口車に乗っちゃ…！！縄を解いたとたんに僕らを殺して逃げるに決まってるんですからっ！！」
コビーくんのその言葉に少しだけ「ん〜」と考える。
でも、やっぱり考えてもそれしか浮かばない。
「殺されやしねェよ。俺は強いからね」
『殺されないです。ルフィは強いですから』
私とルフィは同時に前だけを見て、はっきり、そういった。
ゾロがこちらを睨むのがゆっくりはっきり見えた。
「ちなみにAも殺させやしない。こいつは強いし、何より俺が守るから」
『ははっ、いうね〜』
自信満々なルフィに思わず笑ってしまった。
そんな私の表情を見て、驚いているコビーくんがいたことは知らなかったけど。
と、そんなやり取りをしていると不意に隣へ誰かの気配がした。
やってきた人物はなんと、小さな女の子で、私達の驚いた声に静かに「しーっ」と制した。
そして、驚く私たちを他所に女の子は壁へ立てかけた梯子を使ってそのまま基地の中へと入っていってしまった。
『えっ！？』
思わず驚いて、声を上げてしまう。
大丈夫なんだろうか…。
ロロノア・ゾロから何かをされる、とかそんなんではなく…ただ、なんとなく心配になった。
コビーくんも心配して「危ないよ！」なんていっていたけれど、女の子は聞く耳もたず、いそいそとロロノア・ゾロの元へ静かに駆けて行った。
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作者名：瀬成 | 作成日時：2024年1月5日 13時
