【WT】鮮紅の花束 Ⅴ (ページ46)

今日:18 hit、昨日:26 hit、合計:10,962 hit

第五十八話「仲間」ページ46

・

国王のいる皇室にたどり着いたシャークんは、大きく深呼吸をした。隣にいるスマイルはすました顔をしており、少々腹が立つ。

「一発殴るだけだろ。そんなに緊張する？」

「なっ、」

なんだコイツ。マジで何考えてんのかわかんねぇ。

飛び出すところだった言葉を咄嗟に飲み込む。スマイルの言う通りだ。何も緊張することはない。間違っているのは王であって自分たちは何も間違ってない。

スマイルが指先から扉とおなじ茶色の糸を出す。糸は扉の隙間にスっと入っていった。

「中にいる。けど、これは起きてるな…」

「そんな事までわかんの？」

「振動の伝わり方でな。今は王が貧乏ゆすりしてるんだ」

「…よし、行くぞ」

心の中でカウンドダウンをする。扉にかけた手は僅かに震えていた。扉が少しだけ開いて隙間ができた時、こちらに流れ込んできた甘い匂い。

なかむがいつも食べているお菓子の匂いとは訳が違うと、感覚で分かった。