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城の裏口へと到着した彼らは、ローブのフードを深く被った。きんときの水龍で皇室のある三階の高さまで上がり、廊下の窓をシャークんが殴って破壊した。
バラバラと散らばったガラスの破片に気をつけながら、彼らは内部への侵入に成功する。
「こっからは別行動な。俺とスマイルが皇室、ぶるっくときんときときりやんの三人が手分けしてAの捜索だ。使用人にバレてもいい、何なら場を混乱させろ。いいな？」
「おっけー」
「そっちのリーダーはきんときに任せる」
「え、俺？リーダーとか決めないんじゃなかった？」
「いいんだよ。今決めた。それじゃあ、次会う時は朝飯でな」
きんときの困惑した声を背にし、シャークんはスマイルを連れて走り出した。
小さくなっていく彼らの背は、曲がり角であっという間に見えなくなってしまった。きんときは先程のシャークんの真っ直ぐな目を思い出し、意を決する。
「一階と地下はきりやん。二階がぶるーくで三階は俺が行く。地下には絶対いないと思うから、主に一階を捜して」
「わかった」
「見つけたらすぐに外に行くこと！」
きんときが水龍に跨り、三階へと駆け上がっていく。きりやんは電流を手にまとい階段を駆け下り、ぶるーくも走り出した。
ドタバタという騒がしい音にパールは目を覚ました。ここはどこだと目をぱちくりさせた後、ふわりと香る思い出の匂いにAの部屋だと分かって意識が覚醒した。
いつの間にか寝てしまっていたのだろう。
机の引き出しやタンスから引っ張り出したぴくとの遺品に顔を埋めて、寝てしまっていたようだった。
時計は十時を指しているが、外の様子を見た限りそんな時間帯ではない。時計を直すという仕事が増えた彼女は、大きく肩を落とした。
それにしても……。
騒がしい音が絶えず続いている。終いには微かに女性の悲鳴が聞こえてきた。何かあったに違いないと、彼女は近くにあったハサミを手に持つ。
そしてドアノブに手をかけようとしたその瞬間。
勢いよく扉が開かれた。しかし、彼女の目の前には誰もいない。何事だと廊下に顔を出すと、忍び寄る影がパールの首に腕を回した。
「だ、誰？！」
手に持っていたハサミが落ちる。
視界の隅に見えたのは、赤いナイフ。首筋に当たる冷たい何かを想像すると、恐怖が頭の中を支配した。
＿＿＿＿＿ごめんね、パール。僕は死ぬよ。
瞼の裏に映る愛しい人の笑みに、パールは恐る恐る目を開けた。
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作者名：葡萄。 | 作成日時：2023年4月5日 17時
