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連れてこられたのは地下の研究施設だった。スマイルの暴走により一時期使用不可になっていた検査室は、復活していた。
薄暗い部屋と少しの血生臭い臭いに頭痛がする。
「まずはここに入ってくれ」
国王に促され、俺は半径五メートルほどの円柱型カプセルの中へと入る。白い気体を発しながらカプセルの扉が閉まり、王は受話器のようなものを手に内部へ話しかけた。
「赤いランプが点くまで異能を発動し続けてくれ」
「え？！」
俺、発動の仕方分かんないんですけど？！
そんなことを言えるような雰囲気ではなく、どうしたものかと考える。さっきは異能が暴走していただけだ。自分の意思でやったものではない。
うーんと考えていると、一つのイメージが突然舞い降りてきた。
左手で一直線に空を掻き切る。
そうすれば風が吹き荒れる＿＿＿＿
ことはなかった。
カプセルの中で意気消沈している俺を見兼ねた国王は、外側で腹を抱えて大きく笑った。
「まだ自分の意思でコントロールできない様だね。安心したまえ、こちらで薬を投入する」
プシューと音を立てて何やらイカつい機械が頭上に現れる。そいつから黒色の煙が発せられたかと思うと、甘い匂いが鼻を刺した。
先ほど暴走した時のように、ドクンと大きく心臓が脈打つ。
「ぐ……いだッ！！」
焼けるような痛みと治まらない頭痛。異能に飲み込まれそうになり、恐怖を感じると暴風が突然吹き荒れた。
過呼吸を引き起こし、苦しくなる。
赤いランプが点灯すると、頭上の機械は引っ込んだ。それと同時に風の異能も収まり、俺はその場にへたりこんだ。
「素晴らしい。ぴくとの時と変わらない…いや、少し強くなっているな」
「あ、あの…国王陛下」
「すまない、A。次はあっちの機械に移るよ」
カプセルの中から出ると次に連れていかれるのは、禍々しい光を放つ座椅子。
「さ、座りたまえ！」
「え、えー…」
「これが異能の検査結果だ」
国王から渡された資料に目を落とす。そこには異能の分析結果の他、俺の身体能力のパラメーターが記されており、歪な五角形があった。
渡された資料には、特殊部隊に加入当時のぴくとさんのデータも含まれており、彼の能力値は異能意外俺よりも一回り優秀であった。
「いやぁ、異能が衰えていなくて良かった。なんせ、ぴくとは
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作者名：葡萄。 | 作成日時：2023年4月5日 17時
