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続いての出品は、一人の少女だった。世にも珍しい銀髪に色素の薄い透明な目。その儚げな存在に人々の視線は釘付けである。
手には手錠が、足には足枷が。擦れてしまっているのだろう。手首や足首は赤く腫れている。
「さあ、早くも本日の目玉商品の一つ目！銀髪の少女！」
遠くから見ても、少女の身体が震えているのがわかった。恐怖に染っている顔は青白い。そんなことはお構い無しに、人々は次々と大金を注ごうとしていた。
「五十万！」
「六十万だ！！」
「百万円！」
「五百万！！」
跳ね上がる金額に、競争者達は思いのあまり立ち上がる。お互いを睨み合いながら上げていく額は、一億に昇った。その様子を見てニヤニヤと主催は楽しそうである。
俺の隣に座る男は、不機嫌そうに舌打ちをした。
「坊主は金出さんのか」
「…あ、私は別に」
突然話しかけられて肩が跳ねる。男は慈愛の溢れる目で少女の事を見つめていた。
「三億だ！！」
そして、男は立ち上がった。競争者たちは苦い顔をして男の地を這う声に降参したようで、静かに席に座った。
「三億で落札！！」
「…すごいですね」
小声で男に向けて言うと、彼はどうでもいいと言ったような顔でステージだけを見ていた。
「フフ、今回も盛り上がったわね！」
落札した虹の薔薇を大切そうに抱きしめながら、ラモールはぐったりと疲れて椅子に座っていた俺の元へやってきた。彼女は二億という大金で、たった一輪の花を手に入れたのだった。
「はぁぁ…なんて美しいのかしら！世界に一つだけの花！しかも人口ではなく突然変異ですのよ。神秘的ね」
「ご機嫌ですね、ラモール」
「ウフフ、レーヴは何も入札しなかったのね」
「はい。私の取引はこれからですので」
これで失礼します、とラモールに礼をする。そして、俺は主催の姿を探してダークレッドの中をさ迷った。
主催者の赤髪は、館の庭で花々に水を上げていた。花壇に美しく咲いている色彩豊かな花は、踊るように風に揺れていた。
「あ、あの…！！」
「あー！！Aじゃん！」
俺が意を決して声を出したと同時に、背中に体当されるような衝撃が来た。突然過ぎることに蛙が轢かれたような呻きを漏らしながら、地面に倒れ込む。
背中に感じる人の重み。デジャブな出会い方にため息を吐きながら、俺は太陽の瞳を睨んだ。
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作者名：葡萄。 | 作成日時：2023年4月5日 17時
