【WT】鮮紅の花束 Ⅴ (ページ17)

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第五十一話「行方」ページ17

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国王に呼び出された俺は、パールに手綱を引かれながら王室までの道のりを歩いていた。首に繋がれた光の鎖。俺を犬みたいだと言って面白がる彼女は、いつもより柔らかい。

「お手」

「するわけないだろ」

「初対面の時はあんなにも紳士でしたのに、今となっては…」

「君が食事に塩と砂糖をわざと間違えて入れたからだ」

「あらら」

少し生意気に子供らしく笑う彼女は、どこかぴくとさんに似ているように感じる。類は友を呼ぶということか。

とある日を堺に、彼女は仕事という仮面を外してありのままの姿で話しかけてくるようになった。これは良いことなのだと思いたい。

「なんで呼び出されたんだ？」

「任務のご依頼だそうですよ。A様が信頼に値する異能力者かどうか…任務を通じて判断します。ぴくと様の時もそうでした」

「ほーん…」

「どこか気になる点でも？」

「いや…別に」

異能を継承してから、変な夢を頻繁に見るようになった。俺では無い、誰かの記憶。恐らくぴくとさんのもの。

その記憶が本当だとするならば。

「…はやく行こう」

俺はあいつを信じてはいけない。