【WT】鮮紅の花束 Ⅴ (ページ2)

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第四十七話「検査」ページ2

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目が覚めると、見覚えのない場所にいた。ただ、なんとなく懐かしい匂いがして頭の下にある枕に頬を擦り寄せる。

「…あれ、俺」

何してたんだっけ。

カチカチと時計の秒を刻む音が聞こえる。むくりと上体を起こすと、壁にかけられていた写真立ての中身を見て、まだ寝ぼけていた意識が覚醒した。

写真の中の俺が不器用な笑顔でピースしている。その隣には満面の笑みでダブルピースをするぴくとさんの姿があった。

「ぴくとさん…！！」

そうだ、俺は心臓を食べて。

そこまで思い出した途端、ドクンと心臓が大きく脈打ち、身体中が熱くなる。

「な、んだこれ」

胸に焼けるような痛みが現れる。その痛みに悶えながら助けを呼ぼうとするが、声が出ない。

俺を中心に辺りには風が吹き始める。机の上にある書類やハンガーにかけられていた服などを巻き込みながら、風は渦を巻き、次第に大きくなり始めた。

怖い。

恐怖が頭の中を支配する。風は勢いを増していくばかりで、遂には物が窓に当たり、ガラスが飛び散った。

助けて、誰か。