第三十六話「最弱ブレイン」 ページ6
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尻尾の男はすぐに復活する。小柄の男とは常に距離があって倒しにくい。スマイルが口元に手を添えて考え続ける一方、なかむは薄らとまだ見える星を見上げていた。
「きんときとの合流も一つの手だな…おい、聞いてんのか」
「聞いてるよ、大丈夫」
「大丈夫って…お前なぁ。今どういう状況か分かってるだろ。なら、ぼーっとしてないで考えを共有すべ」
「考えてんの。ちょっと黙って」
言葉を遮られたスマイルは不服そうに下を見下ろす。尻尾の男が氷から放たれ、小柄な男を助け出そうとしている。時間稼ぎのつもりだったのだが、対して稼げていなかったことに無力さを感じた。
自分が立っている瓦礫の山も、いつ崩れてもいい状態だ。かなり危機的状況であるというのに遠くを見つめているなかむに、スマイルは呆れるだけで苦言を呈すことはなかった。
「あー良いこと思いついた、俺。この瓦礫を俺らで崩してあいつらにぶつけんの。そんで、あっちが態勢崩したところを一対二に持ち込んで確実に潰す」
しばらく黙り込んでいたなかむは、その大きな水色の目をスマイルに向ける。どこか殺意を感じさせるギラついた目に、スマイルは楽しげに口角を上げた。
「あぁ、それがいい。でも、俺らにはあいつらを再起不能にさせるほどの攻撃力がない」
「あるよ。少なくとも僕はね。スマイルは相手の動きを封じることに徹して欲しい」
「攻撃手段は…」
「そんなの、異能に決まってんじゃん。なに、スマイルは俺に殺傷能力がないと思ってんの？」
「そういう訳じゃない。ただ…」
暴走が心配だから、なんて。完全にゾーンに入っている彼に言えなかった。スマイルはシャークんが以前言っていたことを思い出す。
『なかむ、あいつは本気を出したら多分俺より強い』
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作者名：葡萄。 | 作成日時：2023年1月22日 17時
