【WT】鮮紅の花束 IV (ページ25)

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第四十一話「不穏の始まり」ページ25

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ぶるーくが目を覚ましたのは、それからしばらくの事だった。

スーツ男にも拷問を行なうが、どちらも目的は知らない、の一点張り。何も情報の進展が得られなかったきりやんは、どうすることもできず、ただため息を吐いた。

起きたぶるーくの隣に、彼も同じように壁に背を預けて楽になる。

「よく分かんないなぁ〜」

きりやんはまじまじとぶるーくを見つめる。何か吹っ切れたように清々しい顔をしている彼だが、怪我は酷かった。

絶体絶命の時に生み出された新たな技で止血はできているようだが、こんな汚い場所では感染症に陥る可能性も充分にある。

早くシャークんと合流し、どうにかしたい。

流れてきた肌寒い冷気にきりやんが外を見ると、少し遠い林の中から一本の大きな氷柱が立っているのが見えた。

「早目に合流したい。俺らも動きたいけど…」

「アッハ、僕はもうちょい休みたいなぁ」

きりやん、おんぶしてー、と猫なで声で両腕を広げたぶるーく。同い年とは思えないようなその言動に、きりやんは呆れながらも彼を背負った。

一番活躍したのはぶるーくだから、労ってやろう。それが例え自己満足でも。