書記官(ﾊﾞﾌﾞ)拾ったがこれはﾊﾞﾌﾞじゃない。【gnsn】

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「Aさん、準備できた？」

「できたよ。」

Aは小さなカバンを持ち上げ、蛍に見せた。

「お前随分少ない荷物だな！ちゃんと詰めたのか？」

「うん。…持ってくものも、ないから」

まだ生活感の残ったAの部屋。

アルハイゼンとの思い出が詰まりすぎていて、

持っていこうにももって行けないのだ。

「行こっか、Aさん」

「うん」

Aは玄関で1度立ち止まったが、

振り返ることなく蛍とパイモンについていった。





数ヶ月後。

アルハイゼンの執務も終わりかけの頃。

「アルハイゼン」

「カーヴェ？どうして君がここに」

「緊急だ」

カーヴェは1枚の紙をアルハイゼンに見せる。

「Aの家にヒルチャールが入って行ったと

近隣の住民から報告を受けた」

「…Aの家にか！？」

普段声を荒げないアルハイゼンだが、

カーヴェの持っていた紙を奪い取るように受け取ると、

『使われていない民家にヒルチャールが棲みついた模様』

とだけ記されていた。

「すまない、席を外す」

「おい、待て！」

愛用の得物を手に取り、Aの家に向かおうとした

アルハイゼンだったが、カーヴェに止められ振り向く。

「僕も行く」

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