~Summer~ 2day ページ10
月彦様は夏に弱いらしく更に体調を崩してしまっていたそうだ。
反対に夏は調子の良い日が多い私が月彦様の部屋に毎日のように訪れ会いに行く。
“今日はどんな話ができるかな” “今日の体調はどうかな” “また笑顔を見せてくれるかな” 色々な思いを募らせ部屋に着きいつもと同じように襖の奥に問いかける
A「月彦様Aです。入ってもよろしいでしょうか?」
……数秒待ったが返事が返ってこない。
心配になった私は“入りますよ…?”と言いそーっと襖を開けた。
すると中には物静かに眠った彼が居た。
眠っていたのなら返事が出来ないのは当たり前だなと思い近くに星座をすると月彦様の頬に手を当てた。
ほのかに暖かいその頬は衰弱し、疲れ果てている表情が読み取れた。
数分後、彼が目を覚ました。
まだ寝ぼけているその瞳にAの姿を写す。
数秒後、“来ていたのか。”なんて言うから私は“ずっとここにいましたよ?”なんて嘘をつく。
すると彼はびっくりしたように目を見開き“起こせばよかったものを…”と少し小さな声で言った。
私は“嘘ですよ”と笑って言うと“悪趣味な嘘だな”とムスッとした顔で言われた。
正直可愛いなと思った。
このなんでもない会話ができる日々が何年も何十年も何百年も…叶うことなら何千年もずっと続けばいい。そう願った瞬間だった。
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作者名:天野 空 | 作成日時:2020年12月19日 0時