2章 Part5 ページ26
無理やり連れ出されたが久しぶりに見た月がちょうど満月で綺麗と思いながらボケっと見上げていた。
童磨)たまにはいいだろう?あのお方は忙しいからね。…また月が見たくなったら連れてきてやるぜ♪…だから暗い顔しないで
A)暗い顔…?私の顔はそんなに暗かった…?
童磨)すっごく暗かった
きっと寂しかったのだろう。きっと昔を思い出していたのだろう。
朝目を覚ましても無惨様がいらっしゃらなかったからきっと不安を覚えたのだろう。
大丈夫。無惨様は私を置いて居なくならないから…
A)…ご心配をおかけして申し訳ございません…!もう大丈夫です!童磨さんがここに連れてきてくださったから…♪
にこっと微笑んで見せるとまた月に視線を上げた。
童磨)…君は綺麗だね。外見も中身も。
A)そ、そうですか…?ありがとうございます…♪
童磨)気づいてよ。口説いてる
そう言うと童磨さんは私の手を取りぎゅっと握ってきた
A)え…?
童磨)ねぇ、知ってる?あのお方は人間と結婚してる。子供だっている。Aちゃんは騙されてるんだよ。
一瞬で心が凍りついた。童磨さんが言っている言葉が嘘か真実かなんてわからない。だけど私も人の心をまだ持っているから“悲しい”なんて感情が浮き出てきて勝手に涙が流れた。
平安時代からこの大正までずっと思い合っていたと思っていた人物に裏切られたというショックから来たものだろう。
…何も言えなく固まっていた私を童磨さんは抱きしめ私の流した涙を舐めた。
私は抵抗することは出来なかった
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作者名:天野 空 | 作成日時:2020年12月19日 0時