君に、愛の花束を (ページ13)

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第十三話ページ13

制服の袖を掴んだ私を、彼が振り返る。

今にも壊れそうなほど傷ついた瞳と、目が合って。

その浅葱色の瞳に、見つめられたことがある気がした。

「あの、」

そう言う私の声も、なぜだか震えていた。

喉の奥が締めつけられるような緊張と、不思議なほどの懐かしさ。

様々な思いが込み上げてきて、息が苦しい。

「あの、私………貴方のこと、思い出せない、」

「………うん、」

ごめん、とまた謝られて、それを遮るように首を振った。

「違うの。思い出せない、けど、でも、」

彼の謝る声を、聞いたことがある気がして。

彼の悲痛な涙を、私に向ける穏やかな笑顔を、知っている気がして。

私まで泣いてしまいそうになりながら、必死で声を振り絞った。

「どこかで会ったこと、あるよね………？」

驚いて私を見つめるその男の子は、どこか懐かしい。

私はきっと、彼を知ってる。

顔を上げた彼と目が合い、確信のようにそう思った。

「あるよね………っ。」

彼の瞳から雫が落ちて、その綺麗な頬を濡らした。

腕を引き寄せられるようにして、彼に抱きしめられる。

そうされても、少しも怖いとは思わなくて。

ただ、涙が零れた。