74話 ページ29
北斗side
「…慎太郎っ」
俺と慎太郎しかいない病室に俺の声だけがひとりでに消えていく。急いで駆け寄ると小さく寝息が聞こえてきて全身の力が一気に抜ける
布団から出ていた手に触れると暖かくて涙が溢れてきた
…っ駄目だ、泣いてないで俺がしっかりしないと
慎太郎の手を握ったまま近くにあったパイプ椅子に座ると、急激な眠気が襲ってきて思わずそのまま意識を手放してしてしまった
.
………ドタバタ誰かが走るような騒がしい音が聞こえる…それはどんどんこっちに向けて近づいてきて、とうとうバンッ！と大きな音が鳴った
大きな音に思わず飛び起きた。何が起きたのか一瞬理解できなくて、勢いよくドアを開けて入っている女性に困惑する
「え、あ、あの…「慎太郎っ？！…っ、なんでこんな…」
傷の入った慎太郎の頬に手を添えて泣き出しそうな顔で見つめる女性…。その姿を見て慎太郎の母親だとやっと寝起きの俺の頭は理解した
咄嗟に握ったままだった慎太郎の手を離して布団の中に入れる
慎太郎の母親と会うのは、バイトの採用が決まって慎太郎を受け持つことになった時の面談以来だからもう随分と前で、多分向こうは俺を覚えていないと思うから挨拶しないといけないと思い立ち上がる
「…お久しぶりです。こんな形ですいません、私慎太郎くんの家庭教師の松村北斗です。」
俺の言葉を聞き終わってからゆっくりこちらに顔を向けてくる森本さん。時計を見るとまだ朝の7時で急いで帰ってきたのがよく分かる
「……お久しぶりです。慎太郎がいつもお世話になってます、慎太郎の母です。あの、単刀直入で申し訳ないんですけど何故先生がここに居るんでしょうか…？」
少し乱れたスーツを整えながら俺と同様に立ち上がってぺこりと頭を下げてくる
…何で俺がここに居るのかホントの事を話すべきなのは分かっているけど、こんな状況で俺と慎太郎の関係を話してしまえば森本さんの精神状態に追い打ちをかける事は一目瞭然だ
でも嘘なんてもっとつけない…、ごめんなさい、
「…すいません。今このことを言うのは余計森本さんを困惑させてしまうと思うんですけど、…っ、私は慎太郎くんと、…真剣に交際をさせて頂いてます。その、今回の件は全て私の不注意で…っ、」
そこまで言って顔を上げると目の前に森本さんが居て、乾いた音と共に頬に痛みが走った
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陽向 - 尾崎さん» ありがとうございます！また読みますね♪ (2022年1月6日 16時) (
レス) id: cd699a7473 (このIDを非表示/違反報告)
尾崎(プロフ) - 陽向さん» はじめましてコメントありがとうございます！2周もして頂けるなんて感動です（ ; ; ）またお話再会しようと思っているので宜しければ最後までお付き合いください！陽向様に楽しんで頂けるよう頑張ります^ ^ (2022年1月5日 18時) (レス) id: 31ee2d5f43 (このIDを非表示/違反報告)
尾崎(プロフ) - 鴎花さん» はじめましてコメントありがとうございます！！本当に有難いです（ ; ; ）またお話再会しようと思っているので宜しければ最後までお願い致します。^ ^ (2022年1月5日 18時) (レス) id: 31ee2d5f43 (このIDを非表示/違反報告)
陽向 - しんほく大好きなので読んでいて楽しかったです♪もう2周してしまいました！続きを書かれる予定はありますか…？無理のない範囲で書いていただければ嬉しいです♪ (2021年12月30日 23時) (レス) id: cd699a7473 (このIDを非表示/違反報告)
鴎花 - 好きです。ほんと面白いですこの小説。もう一気に読んでしまいました！ (2021年12月12日 12時) (レス) id: ae229e33a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：尾崎 | 作成日時：2020年5月31日 21時
