28話 ページ30
北斗side
「いや送ってくって、いいよそんな。もう暗いし危ないから。」
「やだ、送ってく。」
俺の言葉に中々首を縦に振らない慎太郎。どうしたものかと思っていると、傘を俺に押し付けて家の鍵を閉め出す。
「いや!ホントに傘貸してくれるだけで大丈夫だから!」
「…無理。だって電話まだ続いてると思わなかったし、あれが無くなるまでこれから夜は俺が駅まで送る。」
拗ねた子供のように話す慎太郎。…心配してくれてたのかよ、本当に優しいやつ…。嬉しいような恥ずかしいような気分になって、慎太郎の気が済むなら。なんて可愛くない返事をしてしまう。
「やったね〜、行こっか先生。」
傘をさして慎太郎が先に歩き出す。追いつくように横に並んで歩く。
傘に小雨が当たってパラパラと音を立てる。慎太郎と二人でこの道を歩いてるのが何か新鮮で噛み締めて歩居ていると、ずっと黙っていた慎太郎が重く口を開いた
「……ねぇ先生ちょっと話聞いてくれる?」
急に何だと思って、どうしたの?と聞くとちょっと俯いたまま言葉を続けた
「俺さ、好きな人がいるんだ。」
「………そうなんだ。」
慎太郎の急な告白に驚いて気の抜けた返事を返してしまう。いや、慎太郎も年頃の男の子だし、好きな人の一人や二人いてもおかしくない。…頭では分かっているのに心臓が凄い音を立て始める。
「うん、でね、それがさ、…男なんだよね。」
「………へ」
今日樹に同じ告白をされた時と同様な反応をしてしまった。慎太郎の好きな人が男……でも何故か、好きな人がいると言われた時よりは動揺しなかった。
寧ろ心臓がより強く音を立てていくのを感じる。
「やっぱ変だよね?…男を好きになんのって」
慎太郎の方を見ると、悲しそうな顔をして俺の方を見てた。…慎太郎には笑ってて欲しい。なんて、場違いな気持ちが頭をよぎった。
「変なんかじゃないよ。人を好きになるのに女も男も関係ないでしょ?」
…なんか似たようなことを今日樹にも言った気がするなぁ。
「それに慎太郎は優しいから、そんな慎太郎が好きな相手なら、男女関係なく好きになってくれるよ。」
根拠なんて無いのに、無責任に慎太郎にアドバイスする。…この話はもうしたくない、心臓がズキズキする。
528人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
尾崎(プロフ) - えみりさん» 初めましてコメントありがとうございます(^ ^)バイトと勉強が立て込んでて、ちょっとの間更新できてなくて申し訳ないです…。楽しみにしていただけて光栄です!ご期待に添える作品になるように頑張りますね!ありがとうございました(_ _) (2020年5月31日 3時) (レス) id: 31ee2d5f43 (このIDを非表示/違反報告)
えみり(プロフ) - 急に失礼します!!最初の方から読ませていただいています!もう慎北が好きな私からしたらヤバいし、普通の恋としてもヤバいしさ続きが気にって朝起きたら家庭教師という字を探してしまいます笑笑これからも楽しみにしてます!!最高です!! (2020年5月31日 1時) (レス) id: 3091d89ef9 (このIDを非表示/違反報告)
尾崎(プロフ) - はるかなたさん» いつもコメントありがとうございます(*^^*)好きと言って頂けるのは本当に嬉しいものです…!私も自分で書いててそろそろほくしんを幸せにしたくて仕方が無いです(笑)またすぐにお話の続き更新出来るように精進致します!ありがとうございました!(_ _) (2020年5月28日 1時) (レス) id: 31ee2d5f43 (このIDを非表示/違反報告)
はるかなた(プロフ) - 強くなるはず!まだ、両片想いだけど(笑)北斗くんがこんな目にあったのは、めちゃくちゃ悲しいけど、慎太郎くんとの未来の為への、スパイスだと思って、この先を楽しみにしています。あいつムカつくけどー、フィクションだと、きちんと理解していますので(笑) (2020年5月27日 22時) (レス) id: f189f1e0d5 (このIDを非表示/違反報告)
はるかなた(プロフ) - やっぱり、、最悪な事態に。誰だあいつはー!殴ってやりたい!慎太郎くんが、完璧じゃないところが好きです。北斗くんの姿を見たときや、言葉、いろいろ完璧な男の子じゃないとこが、リアルで好きです。これから辛い時間が増えそうですが、その分きっと、絆も (2020年5月27日 22時) (レス) id: f189f1e0d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:尾崎 | 作成日時:2020年5月19日 21時