家庭教師

14話 ページ15

慎太郎side





先生を下見に来ていた場所に連れてきた。下見と言っても人気の少なさを優先して選んだだけの場所なんだけど…どうしても人の少ないところが良かった。今日先生に告白する。気持ち悪がられて、担当を外されてしまうかもしれない、でも、それでも俺は気持ちを伝えずには居られないから。








花火が上がるまでの数分を無言で過ごす。…先生疲れたのかな、射的のぬいぐるみ渡した時も受け取ってボーっとしてたし。人混みとか苦手そうだし。色々心配になって先生の方に振り返った。








バチッと目が合って、顔を赤くした先生がぬいぐるみを後ろに隠す。








「……先生今ぬいぐるみで遊んでた？」







俺の質問に更に顔を真っ赤にする先生。…タコみたい。






「違う！ゴミがついてたからとってやってただけだよ！！」







先生が繋いでいた手をバッと離した。







あ、離れちゃった…寂しくなっていたその時、始めの花火が上がった。







「わぁ、意外と綺麗に見えるじゃん…。」






「そうですね、俺もびっくりです…」






「何で下見に来てたのにビックリしてんだよ」






クスリと笑って、ぬいぐるみを胸に抱えながら花火を見てる先生の方に、体の向きを変える。








今な気がする。








「……ねぇ先生。」








俺が呼びかけると、どうしたの慎太郎。と、先生の目が俺の目を見る。









一息、大きく息を吸った








「俺さ、先生の事…！







〜♪〜♪♪〜♪〜







「…え？」







何だこの急に流れて来た愉快なメロディーは。音の根源を探していると先生が、ちょっとごめん。と言ってカバンからケータイを取りだして電話に出た。







…え？何あの着信音。っていや、それより俺の告白計画失敗なんだけど。








1分ほど経って先生は帰ってきた。







「ごめんごめん、バイトの人からで。で、なに？」







いや、もうこんなムードで言えるわけないし…。あからさまに落ち込む俺に、え？慎太郎？と困惑する先生。ああ、迷惑掛けたい訳じゃないのに。…いや、俺が告白すること自体が迷惑か。








「やっぱ何でもないです！花火もう満足しましたし、遅くなり過ぎると危ないんでもう帰りましょ。」








そう言って先生の手をまたちょっとだけ握って歩き出した。また繋ぐのかよ、って先生が呟いたから、嫌？なんて聞けば別にどっちでもなんて素っ気ない答えが返ってきて、ちょっと握り返された。

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