転生したら“灰だらけ”の… (ページ10)

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9話ページ10

＿＿ん？

待って。今なんて言ったの？

“聖女と同じ力？”

「ちょっと待って。聖女と同じ？？」

「はい！雷の色こそは違いましたが、あの神がかった力は正しく…聖女様そのもの！」

「えぇー………」

どういうこと？？
聖女ルターナも同じ力を持ってたっていうこと？

でも私が見た記憶にはそんな様子……

それともまだ私の知らない記憶があるっていうことなの？

何しろこの世界に私がやってきたのは昨日のこと

肉体はこの世のものでも、魂自体はずっと前からこの世界にいた訳じゃない
そもそも私はこの世界の事を知らなさすぎる

大体この世界の在り方さえもまだ知らない

そんな状態で半端に「はい。王になれます」なんて無責任な事は言えない
今はとにかく情報が欲しい

どうする？正直に言ってみる？

でも信じて貰えなかったら？本当に魔王と恐れられたら？

あーだこーだと考える内に頭の中は整理がつかないほどグチャグチャになっていく

「と、とにかく！私はこの国のことを知らないし、その」

ああもう。とにかく出まかせでもいい。この状況から脱したい

その時の私はそれだけだったのだが＿＿＿＿＿

「私、人間じゃないから」

時刻は夜＿＿

「はぁー………」

とんだ爆弾発言したなと思う

いやでも。まさか。こうなるとは思わないじゃん？

しかも＿＿＿＿＿＿＿

「聖女ルターナは“元悪魔”か……」

なんでまた。そんな過去を持っていらっしゃるんだこの聖女様

いや。聖女だった肉体だから正確には違うのかもしれないけれど

国の人言わく、聖女ルターナにも私と同じような蝙蝠の羽が生えてたそうな
でも聖女ルターナは力を“コントロール”して自我を保ち、この国のために尽くしていた、とか

というか。この国自体が“悪魔”にすがる程、救いを求めていたと
そういうこと

「はぁぁぁ……」

もうどうしたらいいの…国の人たち完全に私をこの国の王様にする気満々だよ

しかも

『まさか聖女様と同じ力、羽を持つ貴方様が国を救ってくださった。これは最早神の啓示以外の何ものでもありません。貴方様こそ、この国の上に立つお方に相応しいのです』

そう言って全員片膝ついて手を組んで祈りを捧げてた

その場にいた私は引いたし、赤髪さんと黒髪さんもちょっと引いてた

何なのよもうぅ……信仰深いにも程があるわよ？

自分の立場や状況に嫌気がさし、呆れていた

「随分と落ち込んでるなぁ」

「！……あ」

声をかけに来てくれたのは、昼間の赤髪さんだった