転生したら“灰だらけ”の… (ページ6)

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5話ページ6

オヤジさんは涙を拭うと城を睨みつけながら続けた

「もっとワシ等に力があれば…あのお方をお守りできたんだ…！
ルターナ様が亡くなる必要など無かったのだ！」

「……そうか」

他所から来た俺たちにはオヤジさんやこの国に住む人々の気持ちなど知りようがない

海賊だからな

だが。にしても許せない事だ

そう思った

海賊の癖に悪虐を許せないなんて、矛盾しかないけどな

「きっと奴らには、天罰が下るだろうさ」

「……そう祈っとるよ…」

オヤジさんがそう呟き終わるか終わらないかのタイミングだった

突然とてつもない轟音が鳴り響いた

「なんだ!?」

麦わら帽子を抑えながら音の方へと視線をやる

そこに見えたのは＿＿＿＿＿＿

「おいおいなんだよありゃ＿＿＿」

気付いた時には私は城の窓を割り、国王の顔面目掛けて拳を振り下ろしていた

「きゃあああああ！！！！」

「なんだあ！？」

殴り飛ばされた国王は壁にめり込んでいた

私は鎖に繋がれた2人を見下ろす
1人はカタカタと震え、もう1人は血の海に溺れてはいるものの、まだ息はある様子だった

ほっと胸を撫で下ろす

鎖のついた2人をそっと抱き寄せた

「大丈夫。直ぐに逃がしてあげるから」

鎖に繋がれた1人は安堵したのかぽろぽろと涙を流しながら何度も頷いていた

「き、貴様何者だ！？よくも国王を！！」

2人を抱きしめながら私はゆっくりと視線を下衆共へ向ける
視界に入れるのもおぞましい

「お前たちのした事は到底許された事ではない。絶対に許さぬ。この私が死ぬよりも恐ろしい目に遭わせてやる」

気付けば蝙蝠の翼は大きく広げられ、彼らに対し殺意を向けていた

だけどここでふと冷静になる私がいる

いやいや。なんで私そもそもこんな事出来るんだ？って

いや確かにすっごくムカついたし腹立ったし怒ってるけど
はらわた煮えくり返る程怒り狂ってるけど

何故か分からないがスルスルと言葉は己の口から紡がれて＿＿＿＿

『私は魔王。魔王アケビ。世の理から外れた存在である』

厨二病120%のセリフを吐いていた

いやなんでーーー！？？

ちょっと待って恥ずかしいよ！？何さ魔王って！

私初耳なんですけど！？

そんなこんなで表情と心が追いつかない状況の中、私は兎に角この場から離れる事にした

鎖に繋がれ2人を抱き抱え、何を思ってか城の壁を思いっきり突き抜け、脱出した

言わば城に風穴を空けて逃げたのである

いや逃げ方なんでそうなったし？？