転生したら“灰だらけ”の… (ページ5)

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4話ページ5

「なーんかいい物ねえかなぁ」

強い日差しを浴びながら俺は隣にいるベックに話しかけた

「だから言っただろ。良くて食い物ぐらいだ」

「まぁそうなんだけどよ……」

上陸した島は人も多く、賑わってはいる様子だった

だが一つだけ違うのは、島の雰囲気だ

この島の住人は皆、一人一人暗い顔をしながら一輪の白い百合の花を持ってどこかに置きに向かっているようだった

勿論仕事をしている人間もいるが…皆同様に喪に付しているという様子だった

「上陸するタイミング見誤ったか…」

「まぁ。話だけでも聞いてみれば何か分かるだろ」

何本目かのタバコに火をつけながらベックは島民に視線を送る

「なぁ。そこのアンタ」

俺は1人のオヤジさんに声をかける

オヤジさんは八百屋を経営しているようで、野菜や果物を売っていた

客の呼び込みの声に覇気はなく、落ち込んでいる様子だ

「なんだ。お客さんかい…いいよ。どれが欲しいんだい」

「あ、いや。俺等は」

言いかけた言葉を飲み込む。ここは何か1つ商品を購入してから話を聞く方がいいかもしれない

「じゃあ俺は〜…そこのリンゴと…」

商品を購入して俺たちはオヤジさんから話を聞くことに成功した

どうやら3日前にこの国の英雄である“ルターナ”という聖女が謂れの無い罪で処刑をされたこと

話の中身は随分と酷いものだった

「なるほど。だから花を」

ベックは城の方へ向かう国民を見ながらオヤジさんの話を聞いた

「ルターナ様本当に素晴らしき尊いお方だったのです……なのに…国王は……」

「…………………」

なんていうか。いつの時代も“尊き人”っていうのは権力者に踏みにじられちまうモンなんだな

そう思った

「ルターナ様は海軍にも力を貸しているお方でした」

「げっ海軍？」

「？…ええ、はい。そして海軍の方々からも大変、信頼されておりました」

「まじか…」

「はい。そうなのです。ですが……」

そこでふとオヤジさんの顔が曇る。見ると、フルフルと拳を震わせていた

「ですが…ルターナ様の処刑が決まり、我々には止める手段もなく……最後の頼み綱として海軍へ連絡をとったのです。ルターナ様と連携して国をお守りしてくれていた彼らなら、きっと国王の野蛮な好意を止めてくださると……」

「…それで？」

オヤジさんの目から大粒の涙がこぼれ落ちる。そして苦しそうに、悔しそうに言葉を紡ぐ

「助けに、来て下さらなかったのです……っ！」

「……………………」