転生したら“灰だらけ”の… (ページ17)

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16話ページ17

腹が立つほどの快晴、真っ青な青空に舌打ちをした

「チッ…なんでまたモリガン王国の様子見など…」

これも全てあの国の国民たちのせいだ

『ルターナ様が処刑されてしまう！どうか罪無き聖女様をお救いしてくださいませ…！』

3日前に届いたでんでん虫からの連絡

大体、あの女は“魔女”と言われていたんだ

幼い頃から持つ恐ろしくも強大な力＿＿＿＿

生まれながらにして“魔王”と言われたあの女の助けなど

するはずもない

しかもあの女は

『私は、海軍、海賊、そして人々が＿＿＿＿＿＿。』

「何とも夢見な戯言を…」

そんな事が叶うならこの世界に“正義”も“悪”も関係なくなるだろうが

「アクイ中尉。島が見えてきました」

「その様だなぁ」

あーあーーかったりぃ。なんでまたこんな貧困国を目にかけなきゃならんのだ

滅びゆくこの国を、聖女無き今救いたいと思う他の国なんて居ないだろうよ

「よーしオメェ等。テキトーに見て“異常はありません”でしたってー帰るぞ」

「はい中尉」

「にしてもなんでまたこんな国を…」

「仕方ないだろう。上からの命令だ」

「この国の“セイジョサマ”とやらにうちは借りがあるらしいかなぁ。まぁ今じゃ、そんなもん無くなった訳だが」

ギャハハハハハッ！！

船内に響く下品な海兵の声は、上空にいる私には筒抜けであった

何なら会話も

なるほど。こいつら(・・・・)が、ね

イメージ映像に流れてきたのはルターナのこれまでの半生と終わり間際の物語

幼いルターナは生まれながらにしてその強大な力に悩まされ続けていた
『誰も傷つけたくない』。それがルターナの日々の願いであり、祈りだった

その力を使い、人々を守ろうと決心して今の今まで力を使いこなす為の鍛錬を行い、この国に蠢く“害虫共”を排除して、再びこの国に光を与えた

3日前までは＿＿＿＿＿

強すぎる力を使いこなし、1人で国を変えた彼女の力に海軍は目をつけた。それが今真下にいる＿＿＿＿アクイ中尉

『その力があればどんな事だって叶えられる。我々と共に、その力を使わないか？』

下心見え見えの提案にルターナが乗るはずもなく。彼女はこう答えたのだ＿＿＿＿

『私は、海軍、海賊、そして世界が共に手を取り合い、生きていける世の中にする為に使うのです。貴方の邪な心の為に使うものではありません』

彼女は見抜いていた。だから断り、彼等と決別した

それを逆恨みし、彼等は救えたはずの彼女を救わなかった

「最低」

天に右手を掲げた

私は聖女じゃないの。だから、優しくなんてないのよ？