転生したら“灰だらけ”の… (ページ16)

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15話ページ16

「お頭が、」

「口説いた、」

『女あああああああああ！？！？！？』

「おいベック！！！」

「はは。事実だろ？」

船内中に響き渡る野郎共の声
声量がえげつないのなんの

ベックのやつ、さては昨日気に召した女がいなくて俺をからかってるのか？
おいおい、だとしたらとんだ八つ当たりじゃねえか？

「やるなあお頭！」

「で、どんな子なんだ？可愛いのか？」

「いやお頭のタイプはどっちかっていうと年上美人だろ？」

「ああ？色気のある大人な感じのっていうやつじゃねえのか」

「違ぇよお頭は年下の可愛い系が好きなんだよ」

「お前らここぞとばかりに俺で遊ぶなよ…ったく…」

好き勝手に言いやがって
あと俺は別にそこまでタイプはねえよ。強いて言うなら色気がある方だけどな！！

「覚えとけよベック…」

「何の事やらだな」

「全く………うん？」

ふと海の方へ目がいく
俺たちはついさっき出航して少しづつ港から離れてきたが…何やら沖の方に一隻船が見えてきた

よく目を凝らして見れば。そいつは嫌でも視界に入れたくねえ船だった

「げっ海軍か！？」

デカデカと“MARINE”と書かれた帆は嫌でも目立つ。間違うわけがねえ

だが何で海軍がこんな島に？

その疑問はふと昨日オヤジさんから聞いた話が過ぎる

『海軍は来てくれなかった』
確か、そう言ってたよな

今更来るにしても遅すぎる。奴ら一体…何考えてやがる？

「おい。ベック」

「ああ。分かってる」

「よし。オメェ等！蹴散らす準備をするぞ！！」

『はいよ船長ーー！！！』

俺の掛け声と共に船員は全員戦闘準備に入る
望遠鏡を使って海軍の船の船員を確認する。ざっと見る感じ、大物はいなさそうだなぁ……

その一瞬、何やら鳥の影がすごい速さで飛んでいくのを視界の端で捉えた

「……ん？」

待て。今のはまさか＿＿＿＿＿そのまさかだった

「は〜…ありゃあすげえや」

「！……はは。出番は無さそうだな」

「なんだありぁ！？」

ベックやヤソップ、他の船員達も気づき、ふと手を止める

空中にいたのは紛れもない、“彼女”だった＿＿＿＿＿

羽を広げ、海の方へ飛び去った

イメージ映像を見終わった私は何も言えなかった

私は勝手にルターナの人生を決めつけていた

彼女には彼女の物語(ストーリー)があったのに＿＿＿＿

海に浮かぶ“MARINE”と書かれた帆を張る船が1隻＿＿＿＿＿その上空で止まる

聖女になるまでの彼女は“普通になりたい女の子”だったのだ
そんな彼女は日々働いて過ごしていた

そう。“灰だらけ”になりながら＿＿＿＿