転生したら“灰だらけ”の… (ページ14)

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13話ページ14

あれから国民の人達全員に話を聞いてもらうために国の中心部にある、大聖堂に集まってもらった

大聖堂はとても広く、この国の人全員がほぼ入れる程の大きさ

だけど『ああ。私の知る世界じゃない』と思うのは教会には絶対にいる“とある人物”がいないことである
この人無くしては西洋の神様は成り立たない……と思うし…
全部全部がそうとは限らないかもだけど…

十字架はあるけど主は“あのお方”ではないという辺り、やっぱりこの世界の信仰の対象は違うんだなと改めて思った

「あー…集まって貰ったのは他でもありません。私がこの国の主になる…というお話なのですが……申し訳ありませんが辞退させていただきます」

途端に大聖堂中はざわざわとひしめき合う

そりゃそうなるよね…分かっていた反応だけど

「何故ですか？我々のこの国がお気に召さりませんでしたか？」

そこで声を掛けてきたのは私が助けた夫婦の旦那さんの方だった

「そういう事じゃないんです。私は、実は………転生者なのです」

『ですが！！』

間髪入れずに国民の声を遮った。“転生者”と言ったら絶対“聖女の生まれ変わり”と言われるのが目に見えていたから

「私は決して“聖女様”の生まれ変わりではありません。力も似通っているけれど、決して彼女の力を受け継いだ訳でもありません」

嘘。多分力はそのまま受け継いでいる。この力は神の御業、はたまた魔から授かったものか
それは今は亡きルチアナのみぞ知るというもの

国民達は「そんな事ないわよ！きっと貴方様は天が遣わした聖女様の生まれ変わり！」「そうだそうだ！」「でなければあんな力を使えるはずがないのだ！」

男女共々、声を揃えて私の意見は聞き入れようとはしなかった

きっと、信じたいんだろうね

彼らはすがるものが、今は無い。彼らがすがり、そして彼らを救っていたのが聖女ルターナ
その聖女を先の処刑で失い、今となっては彼らを導く者がいない

ルターナは言わば私の世界で言う“フランスの聖女”なのだ

だから皆、その光を求めて手を伸ばした

大聖堂中にひしめき合う国民の声が響いていく

だけど。だけどね＿＿＿＿＿

『私は聖女じゃない！！！』

その言葉を放った途端、散々騒いでいた声は凪いだ風のように静かになった

「……私は聖女じゃない。故に、貴方達を救えない」

言わなきゃダメだった。分かってる。本当はこんな事言うべきじゃないって
傷口に塩を塗る様なものだ

でも。それでも＿＿＿＿

「聖女ルターナはもう存在しない。だから今度は、貴方達が自分の足で立ち上がるんです」