第18話「まだ終わらない」 ページ21
「”風魔法 ゲールグラージ”」
ミールァーの周りには、竜巻のような風が巻き起こった。途切れ途切れに、まるで死者の怨念のような声が聞こえてくる。
「”歌魔法 ディバロカ”!!」
イリアのあどけない声は、魔法を唱える時は恐ろしいほど澄んだ声で、さらさらと音を発した。
「”裂断魔法 デスサイズ”!!!」
「”闇魔法 闇纏い・無明斬り”!!!」
クローバーも敗けていない。
騎士団長の2人が同時に飛び出し、イリアとミールァーの魔法を斬り裂いた。
超強力なその一撃は致命傷となったようで、
「…うがっ!!」
「ミールァー!!かはっ…!!」
2人は掠れた声をあげて、地面に倒れ込んだ。
流石に、将と呼ばれる者を相手にしたため、ジャックとヤミもかなりの魔力を消費したようだ。それは他の団長や団員達も同じように。残り少しになったダイヤモンドの魔導士達を、自身の残りの魔力を振り絞って着々と片付けていた。
「ぐ…」
「…ッ、お嬢様…」
「うぅ…」
将の3人の呻き声は、蚊の鳴く声ほど弱々しかった。
ねぇ、しってる?
ひとはね、ゆだんすると、なんにでもよいしれるのよ
「……?」
Aは、イリアの声を聞いた気がした。
クローバーの騎士たちは知らないわ
「……」
今度はミールァーの声。
我がダイヤモンド王国の本当の恐ろしさを―――――
「……!」
そして、キルラスの声。
3人とも、声は少しも枯れていなかった。
『?!?!?!?!』
轟々と燃え盛る炎
吹雪を思わせる冷たい風
幼い声で紡がれる卑劣な歌
「嘘だろ……」
誰の言葉かはわからない。
むしろ誰のかなどどうでもいい。
それは三つ葉達が皆、困惑しきった脳内でただただ繰り返すことしかできない言葉だったから。
「…知らなかったのか、忘れてたのか」
「…恐らく後者でしょうね」
「わたくしたちをきずつけたばつ、ぞんぶんにうけてもらいますわ!!」
3人の額では、それぞれ違う色の魔導石が禍々しい魔力を纏い輝いている。
最後の切り札はまだ
残されていた
「”炎呪詛魔法 黄泉への道標”!!」
その瞬間。クローバー王国の騎士全てが炎に包まれ、気づけば一面が燃えるような赤の世界に立っていた。
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作者名:ミヤビ | 作成日時:2018年8月28日 20時