第17話「決着」 ページ20
トーン トーン とリズムを刻みながら地面を跳ねる。久しぶりの面白そうな相手。腕が鳴る。
ついさっき、言ったら結構ヤバそうなことが口から滑り落ちてった気もしないでもないけど。
「なぁ、そこの赤い人」
Aはフエゴレオンを呼んだ。
視線こそキルラスから少しも動いていないが。
「コイツ、俺がやるから」
そう言って細かいリズムで地に降りた瞬間に土を蹴りキルラスの目の前へ。
闇と炎のぶつかり合いは、一瞬で終止符を打たれた。
「……」
もうもうと煙が立ち上り、あたりはしばし静寂に包まれる。
2人の様子は未だわからない。
そして、煙がだんだんと晴れてくる。何故かその間が、とても長く感じられた。
煙が
ほぼ完全に
晴れた。
そのようやく明瞭になった皆の視界には、全身に闇を纏った少女が、ダイヤモンドの将を足蹴にする光景がくっきりと映っていた。
「ぐあっ…この、僕が…！！」
「ん？なーに？聞こえなーい」
ぐり
かかとをめりこませるように足に力を入れる。自分でやっといてなんだけど結構痛そう。
まぁもちろんそんなことはお構い無しに、足を退ける素振りすら微塵もみせない。
「…ぐ、僕は、八輝将の1人だ……！」
「だーかーらー？」
挑発するような間延びした口調で問う。今更だが、キルラスの魔は少しも感じられない。Aの闇に吸い込まれるように、魔の衝突があった途端それは存在を消した。
「そいっと」
彼女はキルラスを遠くまで思いっきり蹴り飛ばした。
ガガガガ、という大きな音と砂埃を上げてその体は止まった。
「…」
Aは不機嫌そうに眉を寄せる。それは相手が自分が思っていたような強さでなかったからだろうか。
キルラスはぴくりとも動かない。ついさっきまで言葉を発せれていたのだから、魔も込められていない一蹴りだけで死ぬとは思えない。
だが、微動だにしないのに変わりはなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミヤビ | 作成日時：2018年8月28日 20時
