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僕の腕の中にいる大好きな彼女、Aちゃんの香りをめいいっぱい感じて、今日の疲れが吹っ飛ぶような癒やしを得た。ただ首筋に顔を埋めて息を吸い込んじゃうのは、ちょっとアレかも知れない。擽ったそうに彼女が身動いだから、腕を緩めて解放してAちゃんの顔を覗き込む。


「ただいま、Aちゃん」

『え、あっ、おかえりなさいっ』

「えへへ〜会いたくて急いで仕事終わらせてきた。急に来てごめんね?」

『うっ祥彰くんが可愛い。あの私も会いたかったので嬉しいです』


Aちゃんが好きだって言うから、可愛いと思われそうな表情や仕草だって見せちゃうよね。もちろん格好良いって言ってもらえるのも嬉しい。僕は欲張りだから、格好良いの言葉も貰うためにそっちも見せていく。

耳元で低めの声で、大好きだよと囁いた。それを聞いて少しワタワタしだした彼女を見て静かに笑って見せる。そうしたらもう彼女は、瞳をうるませて僕が好きって顔を見せてくれる。


『わた、しも…祥彰くんが好き、大好きです』


照れたように目を伏せるから、その唇にキスをしてみた。彼女は一瞬驚いたように目を見開いたけど目を閉じ応えてくれる。






「Aちゃん可愛い」

『あ、の、祥彰くんは、格好良いです』

「へへっ、やったね」


笑いかければ恥ずかしそうにしているAちゃん。やっぱり可愛いよね、ついつい見つめちゃうのは仕方ないよね。見つめられることに耐えきれなくなった彼女は口を開く。


『も、もう……あの上がってください』

「ありがとう、お邪魔します」

さっき床に落としたバッグを拾おうと屈むと、彼女がそう言えば…と呟いた。バッグを掴んでから彼女の顔を見た。

「ん、なに?」

『祥彰くん、家に寄らずにこっちに来たんですか?』

「そうだよ、Aちゃんに会いたすぎて、真っ直ぐにAちゃん家に帰りたかったから」

『会いたすぎて……そう思ってもらえて何だか嬉しいです』

「僕、思ったんだけど、こうやって“ただいま”と“おかえり”が言えるのって良いよね」

『そうですね、少し一緒に暮らしてるみたいで恥ずかしいですけど』

「そう、それ!」


Aちゃんは、それ?と目をぱちくりさせている。僕は閃いたことを笑って話しだした。
 
 
 

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作者名:佐伯 | 作者ホームページ:   
作成日時:2022年3月13日 17時

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