pair days -episode 4-【番外編】 (ページ11)

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「あの、もしかしてふくらさんですか？」

「えっ、あぁそうです」

「やっぱり！いつも動画観てます、クイズノック大好きです」

「応援ありがとうございます」

「リモートの名前だけランキング好きです！早く後編観たい」

「ありがとう、早く出せるように頑張るね」

笑顔で答える拳くんに、女の子は嬉しそうに話している。これは話しかけない方がいい？そっと後退って隠れようとしたとき拳くんと目があってしまった。彼は嬉しそうに、“あっ”と声を上げる。女の子は何だろうとこっちを向いて、ハッとした顔をしてすぐに笑顔に変わった。

「わぁ妹さんだ〜妹さんも応援してます、お会いできて嬉しい。あの握手してもらってもいいですかっ」

握手って、拳くんではなく私？なぜだろうと思ったが笑顔で良いですよ、と答えて右手を差し出した。しっかりと握手を交わす。

『応援してくださって、ありがとうございます』

「えー嬉しい。皆さんでご飯ですか？ひょっとしてヌシもいらっしゃる？」

「うんそうだよ〜、実は今、部屋に戻れなくて迷ったんだけど」

「やっぱり迷ってらしたんですね、ふくらさんキョロキョロされてるから声かけちゃいました。方向音痴って本当なんですね」

「あはは、困ったことに、そうなんだよねぇ」

拳くんは彼女に笑いかけてから、パッと私の方を向いて口を開く。

「もしかして藤枝に迎えに行ってきてって頼まれた？めっちゃ困ってたから助かったよ」

『あ、はい。えっと、ちょうどお手洗いに行こうとしたら、ついでに福良さんを探して来てくれって祥に言われて』

「そっか〜あっ、それじゃ俺たち戻るから、声かけてくれてありがとう」

「えっ、あぁ、これからも頑張ってくださいっ！」

彼は女の子に向かってバイバイと手を振って私の隣に立つ。私も女の子に会釈して、元来た通路を戻ろうと踵を返した。彼と一緒に歩き出す。

角を曲がって少ししたら、Aこっちと彼に腰を取られて誘導される。そしてすぐに別の角を曲がる。そこにあった壁の出っ張り、大きな柱のようなところの陰に隠れた。

『えっと拳くん、どうして隠れるの？』

「A静かに…たぶん後をつけられてる」

『えっ、ほんとに？』

シーっと唇に彼の人差し指を当てられ、慌てて口を閉じた。こっそり見ると、さっきの子が、あれどこ行ったのかな〜と私たちを探しているようだった。私たちがいる方とは反対へ曲がって行ったのを確認して息を吐く。
　
　
　