pair days -episode 2-【番外編】 (ページ37)

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そういう季節だから仕方ない1 ページ37

　
2022/6上旬
※vol.8『うっかりツイート』と『結婚前夜』の間の話。
　
　
　
彼と暮らし始めて数日経った。片付いてないものはまだあるもののキッチンやリビング周りはだいぶ整ってきた。お気に入りのキッチンでこうやって彼のためにお料理出来る幸せな日々が始まっていると実感する。

「可愛いなぁ」

えっ、と思ったときには背中からハグされていた。いつの間にキッチンに来たのだろうか？彼の温もりに包まれて彼を感じる、お料理にうきうきしていたから少し恥ずかしい気持ちが沸いてくる。

『拳くん、どうしたの？あの、お料理中なんだけど…』

「可愛い彼女が家にいるの最高すぎて、さらにもうすぐ俺の妻になってくれる……幸せ過ぎてヤバい」

『それはっ、私も幸せだけど』

A可愛いと彼が囁く、彼の吐息がかかりチュッと耳輪に唇を押し当てる。その感覚にビクッとしてしまう。逃げようにも彼に強く抱き締められて逃れられない。

『ん、拳くんダメです…お料理できないよぉ』

「もうちょっとこうさせてよ。仕方ないよね、くっつきたい季節だから」

そっと彼を見上げると、目が合ってにっこりと笑ってくる。可愛い、好きと何度も囁かれて、その甘い声と笑顔が格好良くて胸がキュンとなる。恥ずかしくなって彼の言ってることを否定してしまう。

『えっと、梅雨入りもしたし、くっつきたい季節とは違う気がするけど』

「えーそんなことないでしょう、俺はAとならずっとくっついていられるよ。好きだよ、愛してる」

さらに頬にキスを落としてくる。こんなふうに愛を伝えてくれるのは嬉しいけど照れてしまう。

「嬉しいなって思いつつも、照れてるAは格別に可愛いよね」

『も、もう拳くんからかってるでしょう』

「そんなわけないでしょう、本心だから……俺のお嫁さんになる人は可愛くて仕方ない。本気で幸せを感じてる」

『あ、ありがとう……その、私も拳くんのこと、格好良くて素敵だなって…こんな人が夫になるのが幸せ、です』

「んへへっ、嬉しい。俺、Aにはいつも格好良いって思ってもらいたいからね！」

『いつも思ってるよ、拳くんずるいって思うくらいに、格好良いもん、あっでも可愛いなって思うときもある』

こんなふうに伝えるのに彼の目を見て言えない、恥ずかしさでたまらなくなって目線を落とした。すると彼は、Aこそずるい！と言って身体をクルッと回されて両肩に手を置かれ向かい合った。ずるいって何がだろうか？
　
　
　